献血者確保のための効果的な広報手法の開発に関する実証研究

文献情報

文献番号
201034032A
報告書区分
総括
研究課題名
献血者確保のための効果的な広報手法の開発に関する実証研究
課題番号
H21-医薬・一般-019
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
田久 浩志(中部学院大学 リハビリテーション学部)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 常彦(東邦大学医学部社会医学・衛生学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
2,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は献血に対する意識構造を探るために、血液製剤や献血に関する具体的な資料を回答者に示し、一定期間後に同一人物に再調査を行い、意識変化と実献血の有無を調査し実献血に必要な要件を検討した。また、献血に関する情報を複数同時に提示した場合は何を重視するかを検討した。それと共に、飲食店の携帯クーポンをヒントにQRコードで献血希望者を特定のWEBサイトに誘導し情報提示をすると、実際に献血するかを検討した。
研究方法
 H21に18-26歳のネットの回答者1800人の回答者を1.なにも情報提示しない「コントロール群」、2.血液製剤の製法のみ説明した「製剤情報群」、3.製剤情報に血液製剤は身内の高齢者、自分自身にも関係することを説明した「自己参照+群」の3群で献血の有無を検討した。H22は6月後の実献血999人に資料提示方法などが及ぼした影響を見た。一方、今年は献血に関する基礎的情報、待ち時間、輸血・血液製剤で救命される例の中から2つを提示時に何を重視するかコンジョイント分析で検討した。
 献血クーポン調査として、会場ポスターにQRコードを示し献血者のアクセスを促した。その後、ポスターの閲覧の有無、実際のアクセスなどを記録した。過去の献血履歴等は、血液センターから解析者に提供したが、その場合は各個人に独自の番号を振り連結可能匿名化処理を行った。
結果と考察
 資料の提示は単純な血液製剤の情報提示の方が、自分や身内が献血をする可能性がある事を指摘した場合より献血する率が増加した。献血に至る動機の解析では、献血に必要な待ち時間が明示化されている点が一番重視された。献血クーポンの効果は断定できないが、女性が献血クーポンに興味を示す傾向があった。
結論
従来の献血者募集の活動は、献血に興味を持つ未献血者に情報提供するマスマーケティングだったが、今後は献血経験者も対象としてその人の特性に応じたワントゥーワン・マーケティングが必要となる。 今回の献血者確保のための効果的な広報手法の開発に関する実証研究の結果として
1.献血会場に入場してから退場するまでに必要時間の明示
2.献血が健康管理になることの強調
3.輸血現場の状況提示、血液製剤の意義などの具体的な情報の提示
4.献血会場への来場者や献血クーポンでの献血者の特性に応じたワントゥーワン・マーケティングの推進などが必要である事を強調したい。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
201034032B
報告書区分
総合
研究課題名
献血者確保のための効果的な広報手法の開発に関する実証研究
課題番号
H21-医薬・一般-019
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
田久 浩志(中部学院大学 リハビリテーション学部)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 常彦(東邦大学医学部社会医学・衛生学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では血液製剤や献血に関する具体的な資料を回答者に示し、一定期間後に同一人物に再調査を行い意識変化と実献血の有無を調査し、実献血に必要な要件を検討した。それと共に献血に関する情報を複数同時に提示した場合は何を重視するかを検討した。そして、飲食店の携帯クーポンをヒントにQRコードで献血希望者を特定のWEBサイトに誘導し情報提示をすると、実献血が増加するかを検討した。
研究方法
 H21に18-26歳のネットの回答者1800人の回答者を1.なにも情報提示しない「コントロール群」、2.血液製剤の製法のみ説明した「製剤情報群」、3.製剤情報に血液製剤は身内の高齢者、自分自身にも関係することを説明した「自己参照+群」の3群で献血の有無を検討した。H22は6月後の実献血999人に及ぼす影響を見た
H21は、自分の血液型が足り無いといわれたか、献血にかかる所要時間が明確で時間を有効に使えるか、イベントコンサートへの招待があるか3条件の中の2つを提示する時はどちらを選択するか、H22は、献血に関する基礎的情報、待ち時間、輸血・血液製剤で救命される例の中から2つを提示時に何を重視するかコンジョイント分析で検討した。
献血クーポン調査として、会場ポスターにQRコードを示し献血者のアクセスを促した。その後、ポスターの閲覧の有無、実際のアクセスなどを記録した。過去の献血履歴等は、血液センターから解析者に提供したが、その場合は各個人に独自の番号を振り連結可能匿名化処理を行った。
結果と考察
 資料提示方法は単純な血液製剤の情報提示が、自分や身内が献血をする可能性がある事を指摘する場合より献血率が増加した。献血に至る動機の解析では、H21とH22の双方で、献血に必要な待ち時間が明示化されている点が一番重視されていた。献血クーポンの効果は3会場で調査したのみであるが献血クーポンにアクセスした人の大半は献血を行った。また、女性が献血クーポンに興味を示す傾向があった。
結論
 今回の実証研究の結果として、献血会場に入場してから退場するまでに必要な時間の明示、輸血現場の状況提示、血液製剤の意義などの具体的な情報の提示が重要な事が判った。それと共に、献血クーポンはシステム構築や新規の投資をほとんど必要としないため、クーポン導入の効果を今後とも検討する必要があるあるといえよう。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201034032C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 今回の実証研究の結果として、献血会場に入場してから退場するまでに必要な時間の明示、輸血現場の状況提示、血液製剤の意義などの具体的な情報の提示が重要な事が判った。それと共に、献血クーポンはシステム構築や新規の投資をほとんど必要としないため、クーポン導入の効果を今後とも検討する必要があるあるといえよう。
臨床的観点からの成果
 本研究は献血者確保の実証研究研究であるため、臨床的見地からの成果は該当しない。
ガイドライン等の開発
2011/5現在で、本研究はガイドライン等では参考にされていない。
その他行政的観点からの成果
本研究者らの一連の研究は従来の献血者募集の解析が、献血会場に来た者やイベントに来た者を対象にしていたのと異なり、まだ会場に来ていないものを追跡調査した点に特徴がある。今後は、このようなマーケティングの見地からの解析を献血者募集に応用するのは現実的であると言えよう。
その他のインパクト
 本研究では、多変量解析などの統計学的見地のみでなく、QRコードを用いた献血クーポンを新規に提案し、その効果を検討した。このクーポンの手法は高度な技術を必要としないので、今後の献血者募集に応用できると言えよう。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
医療病院管理学会、行動計量学会、血液事業学会、輸血細胞治療学会等
学会発表(国際学会等)
1件
XXth Regional Congress of the International Society of Blood Transfusion,Asia, 2009
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034032Z