献血推進のための効果的な広報戦略等の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201034031A
報告書区分
総括
研究課題名
献血推進のための効果的な広報戦略等の開発に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-018
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 秋田 定伯(長崎大学病院 形成外科)
  • 掛川 裕通(日本赤十字社 人事部)
  • 田辺 善仁(株式会社エフエム大阪)
  • 石川 隆英(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 田中 純子(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医学の進歩によって臓器移植が可能になるなど、治療における血液の需要はますます高まる傾向にあるが、その一方で、献血者数、特に若年層での減少が指摘され、献血液の確保が大きな課題となっている。献血液の安全については、わが国の献血液は非常に優れた検査によって安全な血液が選別されており、わが国は世界でも類を見ないくらい安全な輸血液を供給できていると考えられる。しかしながら、献血者での例えば、年間HIV陽性数および陽性率の上昇は引き続き観察されている。本研究の目的は、安全な血液の確保のために献血の実情を明らかにし、献血離れの現象があるとすればその原因解明を行い、献血推進に向けた効果的広報を開発する事にある。
研究方法
献血液の需要と供給状況をまず把握すると共に、並行して効果的広報戦略に付き研究を進めた。1)需要者側の輸血に必要な血液のニーズ、2)献血者、特に若年層における献血の実態、3)献血者、特に若年層における献血行動の促進因子と阻害因子、4)これまで実施された献血促進の広報の戦略。以上の研究と並行して、5)対象とする年齢層、例えば、若年層への献血行動促進に向けた広報の戦略を立案し、1)から4)の結果を踏まえた広報を戦略的に展開し、6)最終的に広報前後での献血行動の分析から広報の効果を評価する事とした。
結果と考察
1)輸血を受けた患者、家族に対するアンケートを実施。献血の意義を改めて実感した。2)献血受付担当職員等を対象に対応についての研修実施、職員の求められる考え方行動のあり方を学習。全国学生ボランティアにおいてはイベント参画により自主的活動意識が生まれた。3)対象ラジオ局での献血推進キャンペーンへのリクエスト分析から、キャンペーン実施と共に反応が増大している傾向が伺えた。4)プロジェクト時期と献血実績の比較から対前年比増加し、輸血用血液製剤の需要に見合った献血者の確保が示された。5)分析結果から若年層への献血推進広報活動の効果により、献血離れに歯止めがかかりつつあると考えられた。さらに中高年献血者への意識調査等を行うことにより献血者確保のための方策が明らかになる可能性があると考えられる。
結論
需要に見合う安全な献血液の供給を確保できれば、血液を必要とする患者に十分な医療を提供でき、さらに、血液の安全性の広報は、HIVやHBVなどに対する国民の感染予防行動と相俟って、HIV感染蔓延阻止に大きく貢献できると予想され、結果として、国民の保健、医療、福祉の向上に貢献できると考える。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034031Z