医療機関内輸血副作用監視体制に関する研究

文献情報

文献番号
201034029A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関内輸血副作用監視体制に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-016
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 康彦(山口大学 医学部附属病院輸血部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅井 隆善(千葉県赤十字血液センター)
  • 下平 滋隆(信州大学 医学部附属病院輸血部)
  • 田崎 哲典(東京慈恵会医科大学 附属病院輸血部)
  • 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
諸外国と異なるわが国の輸血医療に適した輸血医療に関するリスクマネジメントの確立を目的とした。また、新規項目として発熱、呼吸困難などの輸血副作用の初発症状に着目し輸血製剤由来副作用を全数把握し、情報を解析・管理する本邦初の全国的輸血副作用収集システムの基盤整備も併せて行う。
研究方法
日本輸血・細胞治療学会および厚生労働省の研究班<牧野班>と共同で輸血業務の総合的調査を行った。また、これらに加えて全国大学病院輸血部会議調査、国内外の学会調査等も積極的に活用し、リスク情報の的確な収集を行った。また、輸血副作用に関するパイロットスタディーでは2ヶ月ごとに、インターネットによりオンライン登録を行った。パイロットスタディーの規模は従来の6施設に加え、新たに33大学病院が加わった。血液製剤に由来する副作用調査の実施に関しては、プライバシー保護に配慮し、疫学研究に関する倫理指針に基づき、倫理面について十分配慮した。
結果と考察
1)重篤な副作用の発生時に、健康被害を最小限に留めることが可能となる輸血副作用知識の普及啓発のため「輸血副作用対応ガイド」を作成した。
2)緊急輸血時の検体取り違えによるABO異型輸血の発生の危険性を指摘するとともに、これまでの原因解析に基づき輸血療法の各段階でのABO異型輸血発生のリスクについて整理・検討を行った。
3)放射線未照射血の使用および院内採血が相当数の施設で行われている現状を明らかにした。H21には血液製剤への全照射を基本とするガイドライン作成し、H22には詳細調査な調査を追加し、対応策を検討した。
4)全国的輸血副作用収集システムの基盤整備では、本年度までに大学輸血部の過半数が本研究班に参加の手続きを行った。大学病院輸血部会議において本研究班において行ったサーベイランス活動の報告を行うと共に、実務者を対象にした情報収集および入力の技術講習を行っており、全国統一の副反応報告システムが構築されつつある。
結論
これらの研究は「血液製剤の使用指針」等の改訂に寄与するものであり、改善のための提言を通じて、輸血医療の安全性向上・国民医療の向上にも寄与した。また、全国的輸血副作用収集システムは、既存の日本赤十字社で行われている、副作用報告と組合わさることにより、日本の輸血医療に対する行政と血液の安全性確保のために貢献することが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034029Z