赤血球製剤を含めた血液製剤の病原体不活化法の開発と不活化評価法の開発

文献情報

文献番号
201034028A
報告書区分
総括
研究課題名
赤血球製剤を含めた血液製剤の病原体不活化法の開発と不活化評価法の開発
課題番号
H21-医薬・一般-015
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 義昭(国立感染症研究所 血液 安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 下池 貴志(国立感染症研究所 ウイルス2部)
  • 鈴木 光(日本赤十字社中央血液研究所)
  • 太組 一朗(日本医科大学武蔵小杉病院 脳神経外科)
  • 野島 清子(国立感染症研究所 血液安全性研究部)
  • 水澤 左衛子(国立感染症研究所 血液安全性研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血液製剤の安全性向上のために赤血球製剤の病原体不活化法開発を目的に本研究を実施した。また、これまで培養が困難であったC型肝炎ウイルスを用いて不活化効率を求め、モデルウイルスであるウシ下痢症ウイルス(BVDV)と比較検討した。さらに核酸増幅法の精度管理のためのE型肝炎ウイルス(HEV)の国内標準品の作製、及び不活化評価のためにin vitroで増殖可能なヒト血漿由来のHEV株を分離した。また、核酸増幅法(HIV)のサーベイランスも行なった。
研究方法
紫外線照射法を改良し、紫外線による赤血球製剤の病原体不活化法を検討した。液層1.5mmの赤血球液全体に紫外線を照射し、ウシ下痢症ウイルス(BVDV)の不活化を検討した。また、HCVとBVDVは5%アルブミンに添加し、60℃液状加熱、又は8%エタノール処理し、それぞれ不活化効率を検討した。HEVは献血者由来の陽性血漿をHEV陰性血漿で希釈し、国内標準品候補とした。また、HEV陽性ヒト血漿をヒト肝癌細胞株に添加し、継代することによって培養細胞で増殖可能な HEV株を分離した。さらに輸血のスクリーニング検査として実施されているHIV-NATの検出基準が定められたので、感度を把握するためにNATを実施している施設に種々に希釈したHIV陽性血漿を送り、サーベイランスを実施した。
結果と考察
紫外線照射を改良することで化学物質なしで液層1.5mmの赤血球製剤中のBVDVを5Log以上不活化することができた。また、HCVは60℃1時間の液状加熱によって検出感度以下にまで不活化されたが、8%エタノール処理では全く不活化できなかった。これらはHCVのモデルウイルスを一致していた。HEVの研究では国内標準品の候補品1800本を作製した。さらに血漿から培養系で増殖可能なHEV株を分離することに成功した。一方、サーベイランスによって実施されているHIV-NATの感度は基準を満たしていることが確認できた。
結論
紫外線照射による赤血球製剤の病原体不活化は困難であるとされていたが、照射方法を改良することによって可能なことが示された。今後、至適条件を見いだすことによって実用化を目指す。また、HCVが液状加熱によって容易に不活化される一方で、8%エタノールに耐性であることが明らかとなった。これらはBVDVと良く一致し、解析した範囲ではBVDVはHCVの良いモデルウイルスであると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034028Z