かび毒の毒性評価法およびデトキシケーションに関する研究

文献情報

文献番号
201033056A
報告書区分
総括
研究課題名
かび毒の毒性評価法およびデトキシケーションに関する研究
課題番号
H22-食品・若手-022
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 圭一(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では平成22年度においてかび毒の毒性評価法について焦点をあて研究を実施した。かび毒については、乳幼児への影響が危惧されるかび毒に留意し、Aflatoxin M1(AFM1)、Zearalenone(ZEN)、さらにトリコテセン系かび毒であるDeoxynivalenol (DON)、Nivalenol(NIV)、T-2 toxin(T-2)、HT-2 toxin(HT-2)の毒性評価試みた。
研究方法
これらかび毒の毒性を、感染防御に関与する自然免疫系を活性化させるToll-like receptor 4(TLR4)をメルクマールに評価を試みた。自然免疫系は上述の役割のみならず、獲得免役の成立にも関与することが近年の研究から指摘されつつあり、同免疫系への影響を指標に毒性を評価することは、免疫系の発達過程にある乳幼児期への影響についても貴重な知見が得られると考えられる。本研究ではより精緻にこれらかび毒のリスク評価を行うことを目的に、マウス由来マクロファージ様細胞からヒト由来マクロファージ様細胞に評価系のプラットフォームを変更している。
結果と考察
本研究よりトリコテセン系かび毒については両細胞間で顕著な相違は認められず、同かび毒がTLR4のアゴニストであるLipopolisaccharideにより誘導されるシグナルを濃度依存的に抑制する作用を示すことが明らかとなった。一方、AFM1についてはTLR4シグナルの抑制作用は認められたものの濃度依存性は観察されず、その影響については、より多角的な検討を有すと考えられた。ZENについては本アッセイ系からは明確な毒性は認められなかった。
結論
本研究から少なくともDON、NIV、T-2およびHT-2という食品衛生上問題とされるトリコテセン系かび毒については、今回構築した評価系はリスクプロファイルの提供に用いるプラットフォームとしてのポテンシャルを有すと結論づけられる。なお、今回の研究から、T-2と比較して同毒素の生体内代謝産物でもあるHT-2においてより強いTLR4シグナル抑制作用が認められたことから、T-2の毒性についてはHT-2が示す毒性を考慮してリスクアナリシスを行うことも必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201033056Z