食品を介したダイオキシン類等の人体への影響の把握とその治療法の開発等に関する研究

文献情報

文献番号
201033047A
報告書区分
総括
研究課題名
食品を介したダイオキシン類等の人体への影響の把握とその治療法の開発等に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
古江 増隆(九州大学 大学院医学研究院皮膚科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 赤羽 学(奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
  • 内 博史(九州大学病院 油症ダイオキシン研究診療センター)
  • 平田 輝昭(福岡県保健環境研究所)
  • 吉村 惠(熊本保健科学大学 大学院保健科学研究科)
  • 赤峰 昭文(九州大学 大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯科保存学研究分野)
  • 石橋 達朗(九州大学 大学院医学研究院眼科学分野)
  • 岩本 幸英(九州大学 大学院医学研究院整形外科学分野)
  • 古賀 信幸(中村学園大学 栄養科学部)
  • 重藤 寛史(九州大学 大学院医学研究院神経内科学分野)
  • 月森 清巳(福岡市立こども病院・感染症センター 産科)
  • 辻 博(北九州津屋崎病院 内科)
  • 徳永 章二(九州大学病院 医療情報部)
  • 中西 洋一(九州大学 大学院医学研究院呼吸器内科学分野)
  • 中山 樹一郎(福岡大学 医学部皮膚科)
  • 長山 淳哉(九州大学 大学院医学研究院保健学部門)
  • 松本 主之(九州大学病院 消化管内科)
  • 山田 英之(九州大学 大学院薬学研究院)
  • 宇谷 厚志(長崎大学 医歯薬学総合研究科皮膚病態学分野)
  • 隈上 武志(長崎大学 医学部歯学部附属病院眼科)
  • 吉村 俊朗(長崎大学 医歯薬学総合研究科保健学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
232,714,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
油症患者に残存する症状を把握し、ダイオキシン類が生体に及ぼす慢性の影響、その排泄法、症状緩和法を開発する。
研究方法
油症患者の症状、および生体内のダイオキシン類濃度の推移を調べた。コレスチラミドの内服試験とアダパレンの外用試験の解析を行った。また、実験動物や培養細胞を用いて基礎研究を行った。
結果と考察
検診結果では、全科とも患者の高齢化に伴い、油症特有の症状に加齢による影響が伴っていた。血液中ダイオキシン類濃度測定が開始し、9年経過し、結果の蓄積、解析が進んでいる。2010年度は、ダイオキシン類濃度と網膜細動脈硬化性変化・骨密度・甲状腺機能・血清ケモカイン濃度との相関関係について検討した。サイトカインのTNF-a・酸化ストレスで出現すると考えられるHeat shock protein (Hsp)などについても油症患者と健常者での比較検討を行った。
2001年から2008年までの340人の血中PeCDF濃度の時間的変化を調べたところ、男女とも PeCDF レベル濃度が高いほど PeCDFがより減少する傾向があった。
次世代への影響を調べたところ、油症患者より出生した児のなかには出生後30数年経過した時点でもPeCDFが血中に高濃度に存在するものがあり、その主要な曝露源は母乳を介する母児間移行であることが示唆された。
2009年度に実施された油症実態調査の結果とPeCDF濃度の測定結果を用いた調査項目や症状とPeCDF濃度の関係の解析も進めている。
基礎的実験では、ダイオキシンが及ぼす呼吸器症状の病態解明・ダイオキシン類であるCB183の代謝・新い治療薬になる可能性のあるケトコナゾールの作用機序・胎児脳下垂体/性腺・性ホルモン合成系への影響・ダイオキシン曝露により肝臓において誘導されるセレン結合性タンパク質 (SeBP1)の誘導機構などについて、知見が集積してきている。
結論
2010年度は新たに14名が油症患者と認定された。継続的に油症患者の臨床症状を把握しダイオキシン濃度との関連を分析・評価、また基礎実験でダイオキシンが生体に及ぼす影響・作用機序を研究することにより、総合的にダイオキシン類(短期・長期)暴露による影響の解明、また新しい治療薬の発見・開発につながると考える。

公開日・更新日

公開日
2011-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201033047Z