食品中残留農薬等の急性暴露評価及び汚染実態把握に関する研究

文献情報

文献番号
201033034A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中残留農薬等の急性暴露評価及び汚染実態把握に関する研究
課題番号
H22-食品・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
米谷 民雄(静岡県立大学 食品栄養科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉池 信男(青森県立保健大学 健康科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)残留農薬基準値はADIを基に設定されるが、JMPRや食品安全委員会では1日内に摂取しても健康影響がない急性参照用量(ARfD)も評価している。そこで、現行基準値がARfDの観点から妥当かを検証するため、急性暴露評価で重要な多食者情報の精度向上をめざした。2)厚労省の農薬摂取量調査はマーケットバスケット法を採用しているが、各食品群内で多食品を混合し分析するため効率的だが、各群で殆どの農薬が検出されず、検出限界の20%を摂取量としており、実態は不明である。そこで、残留農薬の摂取で重要な食品につき個別食品別の残留実態を調査した。
研究方法
1)厚労省が健康・栄養研に委託した摂取量調査の解析を行い、必要な基礎データを提示し、摂取量の変動要因等を検討した。2)皮ごと摂取可能な野菜・果実、果皮も含まれる加工食品、みかんを対象とし、各食品につき3生産者の製品を混合し農薬を一斉分析した。
結果と考察
1)農作物228食品グループにつき、全員(1歳以上)と幼小児(1?6歳)の摂取量データを解析した。前回との比較で20%以上増加したのが全員で8食品グループ、幼小児で1食品グループ、逆に20%以上減少が全員で14食品グループ、幼小児で3食品グループあった。又、今回摂取者数が120人以上となった農作物は全員で14食品グループ、幼小児で9食品グループあった。又、全員では全般的に「東」で摂取量が高いものが多かった。季節変動では特にとうもろこし、たけのこで変動が大きかった。2)皮ごと摂取可能な野菜・果実では27試料中19試料から45農薬が検出され、平均検出数は1.6農薬で、0の試料も8試料あった。検出量は0.005?0.11ppmであった。農産物別検出農薬数はレモンで7.0、ブドウで3.3が多かった。農薬系統別ではネオニコチノイド系が13試料から検出された。果皮も混入するマーマレード、ジャム、レーズンでは農薬レベルは低く、3県のみかんでは、果肉では1種類の農薬が最高0.03 ppm検出されただけで、果皮では各県産で8?11農薬が基準値以下で検出された。
結論
1)今回、摂取量データを拡大でき、急性暴露評価で重要な幼小児についてデータの精度を向上できた。2)皮ごと摂取可能な農産物ではネオニコチノイド系の検出頻度が高く、使用実態と一致していた。果皮も含まれる加工食品やみかんの果肉・外果皮では基準値を超えた農薬はなかった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201033034Z