文献情報
文献番号
201033013A
報告書区分
総括
研究課題名
食肉食鳥衛生検査における家禽・家畜等のウイルス性疾病検査に関する研究
課題番号
H20-食品・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
棚林 清(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
- 岡崎 克則(北海道医療大学 薬学部)
- 池田 秀利(日本獣医生命科学大学 獣医学部)
- 伊藤 壽啓(鳥取大学 農学部)
- 杉山 誠(岐阜大学 応用生物科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
12,825,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食肉・食鳥衛生検査所で実施可能なウイルス学的検査方法の開発・改良・検証や家畜におけるウイルス感染の実態調査を目的とした。
研究方法
多種類のウイルス検査に応用可能な(RT-)PCR法のマニュアルを策定し、豚検体で10種類のウイルスを調査した。牛白血病ウイルス検査PCR法の簡略化と標準化を試みた。また、検出されたウイルスゲノムの系統進化解析を行った。高病原性鳥インフルエンザと鑑別が必要なニューカッスル病の迅速検査RT-LAMP法の検証を行った。網羅的病原体検出マイクロアレイのプローブを用いて安価で汎用的なマイクロプレートハイブリダイゼーション(MPH)法を試みた。家畜におけるA群ロタウイルスの調査と簡便なロタウイルスの全分節遺伝子解析法の改良を試みた。
結果と考察
策定した(RT-)PCR法のマニュアルで豚扁桃を調査しブタサーコウイルス2型とブタパルボウイルスが検出されたが、E型肝炎ウイルスや他の8種のウイルスは検出されなかった。以前の結果と類似し、本マニュアルで安定した検査結果が得られると考えられた。牛白血病ウイルス検査PCR法で新たな耐熱性DNAポリメラーゼを用い検査時間の大幅な短縮と高感度化に成功した。さらに、陽性対照DNAを調製できたことで本改良法の協力食肉衛生検査所での試行ができた。また、本ウイルスのTax遺伝子解析で国内のウイルスは2系統あり、発症年齢との関連性が示唆された。ニューカッスル病ウイルス検出RT-LAMP法は幅広い型のウイルス株で検出可能でかつ、実験感染鶏からの検出も可能であった。MPH法でインフルエンザウイルスゲノムの104コピーを検出できた。A群ロタウイルスが健康豚の9.6%から人や豚に病原性を示すタイプを含めウイルス遺伝子の排泄が確認された。また、全分節遺伝子解析法の改良で前年度の検出率54.5%から81.8%に改善された
結論
家畜のウイルス疾病検査法として策定した(RT-)PCR法のマニュアルは多種類、多検体の処理が可能であることや牛白血病PCR検査が簡略化できたことで検査所に応用できると考えられる。鳥インフルエンザの鑑別検査法として有用迅速なRT-LAMP法が開発できた。低コスト汎用性のあるMPH法はさらに改良が必要である。各種遺伝子型のA群ロタウイルスが健康豚に存在することがわかった。
公開日・更新日
公開日
2011-05-26
更新日
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