非正規雇用の一典型としての外国人労働者における労災・職業病リスクの解明と参加型手法による予防対策の確立

文献情報

文献番号
201032012A
報告書区分
総括
研究課題名
非正規雇用の一典型としての外国人労働者における労災・職業病リスクの解明と参加型手法による予防対策の確立
課題番号
H21-労働・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
毛利 一平(財団法人 労働科学研究所 研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 酒井 一博(財団法人 労働科学研究所 研究部)
  • 吉川 徹(財団法人 労働科学研究所 研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,625,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は外国人労働者を主とした非正規労働者における、労災職業病発生のメカニズムと特徴を明らかにし、その予防に資することのできる労働改善手法の開発と、それを応用した教育プログラムの開発、さらにはこれらの成果を生かすことのできる政策提言を目的としている。今年度は、昨年度に続き、外国人労災・職業病事例の解析とそのメカニズムの解明、外国人労働者を雇用する事業場における労働改善トレーニングツールの開発を行った。また、研究申請時に課題とされた、日本人非正規労働者における労災職業病の実態についても調査を行った。
研究方法
昨年に引き続き、外国人労働者の支援を行う労働組合の協力を得て、労災・職業病事例の収集と解析を行った。労働改善トレーニングツールの開発については、韓国の研究者らとの共同作業で、建設業におけるアクションチェックリストや中小企業向けの講義資料を韓国語で作成したほか、サービス業向けのチェックリストの作成(英語版)、日本の労働組合を対象とした改善トレーニングなどを実施し、その手法の有効性を検討した。日本人非正規労働者における労災・職業病の実態に関しては、商用パネルを対象とし、Web調査を行った。
結果と考察
外国人労災・職業病の事例研究では、主に2004年以前の約30事例を収集し検討した。労災発生の原因や傾向については、初年度に検討した2005年?2007年の54事例と大きな差異はなく、外国人特有の問題というよりは、ごく基本的な安全対策の欠落が主因となっていると考えられた。職場改善ツールの開発に関しては、韓国語版の建設業・中小企業を対象としたチェックリスト・講義資料について、韓国人研究者・労働者の協力を得てその有効性を確認し、外国人と日本人が一緒になってトレーニングに参加することで、安全衛生への理解が促進されることを確認した。日本人非正規労働者の調査では、正規・非正規労働者それぞれ約1000人から回答を得た。労災・職業病の発生頻度が小さいこと、属性に大きな偏りがあることなどで比較は容易ではないが、これまでの解析結果では二つのグループ間で労災・職業病発生の頻度や内容に明らかな差は認められなった。
結論
外国人労災・職業病に関しては、言葉や文化の問題というよりも、まず中小企業の安全衛生の問題として、基本的な安全衛生対策の徹底が必要である。来年度、これまで発展途上国で大きな成果を上げてきた参加型トレーニング手法を応用し、日本の現場での実践とその効果の検証を行う。

公開日・更新日

公開日
2011-09-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201032012Z