諸外国のマグネット・ホスピタルの組織特性とその要素に影響する取り組みに関する研究

文献情報

文献番号
201031049A
報告書区分
総括
研究課題名
諸外国のマグネット・ホスピタルの組織特性とその要素に影響する取り組みに関する研究
課題番号
H22-医療・一般-033
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
富永 真己(兵庫医療大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 三木 明子(筑波大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
米国のマグネット・ホスピタルと日本国内の看護師定着について成功している病院の組織特性の中でも、看護管理者のリーダーシップとマネジメントスタイルに関する組織の取り組みについて、事例検討を行うことで、日本国内の病院の看護師の離職防止と定着の確保についての示唆を得る。
研究方法
2010年に、米国のマグネット・ホスピタル3施設と日本国内の看護師の定着に成功している1施設を、訪問し、半構造化の形式のインタビュー調査を実施した。録音データのうち、英語の内容は日本語での逐語録の要訳を作成した。日本国内の1施設のデータとともに、質問項目毎に回答を整理し、組織特性の中でも、①リーダーシップの質と②マネジメントスタイルについて事例検討した。
結果と考察
米国の3施設の患者の平均在院日数は約5日であった一方、日本国内の病院は16.5日と3倍であった。マグネット・ホスピタルの申請理由は、米国の3施設が共通して、「看護師の離職率・在職率改善」をあげ、認定とその維持継続の理由では、米国の2施設が共通して「認定を病院が誇りとしていること」「認定自体が看護師の採用に有利である」「認定維持に対する投資の見返りがある」をあげていた。認定地位を維持するために米国の3施設とも、看護管理者に関し、明確な要件のもと系統的かつ厳密なプロセスで慎重に採用していた。採用された看護管理者には、一定の権限が委譲され、スタッフの採用・評価・表彰、予算、さらには解雇にいたるまでの権限を与えている施設もあった。一方で、日本国内の病院は米国の3施設に比べ、要件はさほど明確ではなく、プロセスも厳密なものではなかった。看護師長の権限についても同様の状況であった。
米国と日本のいずれの病院も看護管理者がリーダーシップを発揮できるよう組織として教育や支援のシステムを充実させていたが、特にマグネット・ホスピタルでは、より充実した教育システムと客観的かつ公正な看護管理者の評価制度を確立していた。また、多様な評価・表彰制度や、ITを利用した勤務スケジュールなどの工夫が認められ、日本においても参考にできるツールであると考えられた。
結論
マグネット・ホスピタルにおけるリーダーシップとマネジメントの取り組みは、看護師の離職防止ならびに定着確保につながると考えられた。これらの取り組みは、スタッフや組織の一部である病棟科の成長を促し、病院組織全体を活性化していることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201031049Z