肝炎ウイルス感染複製増殖過程の解明と新規治療法開発に関する研究

文献情報

文献番号
201030033A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルス感染複製増殖過程の解明と新規治療法開発に関する研究
課題番号
H22-肝炎・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
脇田 隆字(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 土方  誠(京都大学 ウイルス研究所)
  • 森石 恆司(山梨大学大学院 医学工学総合研究部 医学学域 微生物学講座)
  • 武部  豊(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 池田 正徳(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 腫瘍制御学講座腫瘍ウイルス学分野)
  • 田中 靖人(名古屋市立大学大学院 医学研究科)
  • 坂本 直哉(東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 分子肝炎制御学講座)
  • 上田 啓次(大阪大学大学院 医学系研究科 感染免疫医学講座)
  • 加藤 孝宣(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 萩原 正敏(京都大学 大学院医学研究科 形態形成機構学)
  • 三浦 直行(浜松医科大学 医学部 生化学第二講座)
  • 八木 清仁(大阪大学大学院 薬学研究科)
  • 水口 裕之(大阪大学大学院 薬学研究科)
  • 清原 知子(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
62,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝炎ウイルス感染症は我が国における最も重要な疾患のひとつであり、その対策は迅速に進める必要がある。
HCV感染に対する現在の治療は不十分であり、新たな抗ウイルス薬による治療効果の改善が望まれる。HBV感染では、核酸アナログ剤の長期投与によりHBVキャリアの肝癌発生率は低下するが、薬剤耐性ウイルスの出現とコントロールが問題である。
E型肝炎ウイルス感染症は輸入感染症および人獣共通感染症として問題である。特に老人の感染では重症化・劇症化する場合がある。
これらの問題を解決するために、新たな治療薬の開発が必要である。
研究方法
HCV感染増殖機構の解析と新規治療法の開発
HCV培養系による抗ウイルス薬スクリーニング
HBV感染増殖機構の解析と新規治療法の開発
HBV増殖系による抗ウイルス薬スクリーニング
HEV感染増殖機構の解析と抗ウイルス薬スクリーニング
HCV感染動物モデル開発
ヒトiPS細胞由来肝細胞を用いた肝炎ウイルス感染・複製機構の解析
結果と考察
・HBs抗原高産生細胞を用いて薬剤スクリーニングをおこなった。HEVのウイルス培養系と感染性クローンを確立した。
・プロスタグランジン(PG)合成酵素群の遺伝子発現変化のHCV生活環に対する影響を検討し、PGI受容体アゴニストがHCVの感染性を抑制した
・化合物の大規模スクリーニングにより3種の化合物とその誘導体にインターフェロン応答増強効果、及び抗ウイルス効果の増強を認めた。
・抗HIV活性をもつグリフィスシンがHCVエントリーを特異的に阻害した。
・HBV pseudotypeを用いて、ヒト肝臓cDNAライブラリーをスクリーニングした。
・VitD誘導体の一つがHCVのウイルス粒子形成を阻害した。
・抗HCV作用機構のあるKinase阻害剤の標的Kinaseを同定した。この化合物はフラビウイルス粒子産生を阻害した。
・HCV感染に重要なCD81, SR-BI, CLDN1, OCLN発現するマウスを作製した。E2蛋白がこのマウス肝臓切片に結合した。
・ヒトiPS細胞由来肝細胞ではCD81, SR-BI, CLDN1, OCLNが発現した。
・肝臓分化に必要な転写因子を、細胞分化の最適な時期にiPS細胞へ導入することで、肝細胞の作製に成功した。
結論
本研究を推進し、肝炎ウイルスに対する新たな治療法の開発は患者の予後を改善し、肝硬変および肝臓癌という高度な医療が必要な疾患の患者数を減らし、結果的に医療費の低減に寄与し、社会の福祉に寄与する。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201030033Z