ウイルス性肝炎に対する応答性を規定する宿主因子も含めた情報のデータベース構築・治療応用に関する研究

文献情報

文献番号
201030031A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス性肝炎に対する応答性を規定する宿主因子も含めた情報のデータベース構築・治療応用に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-肝炎・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
田中 靖人(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 徳永 勝士(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 五條堀 孝(国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJ研究センター)
  • 溝上 雅史(国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター)
  • 八橋  弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
  • 本多 政夫(金沢大学 医薬保健研究域 保健学系)
  • 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院 )
  • 坂本 直哉(東京医科歯科大学 分子肝炎制御学講座)
  • 渡辺 久剛(山形大学 医学部)
  • 新井  理(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 )
  • 菅内 文中(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 )
  • 本村 和嗣(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
71,585,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、肝炎ウイルス感染に対する応答性や薬剤応答性の個人差に関わるヒト及びウイルス両方の遺伝子要因を同一個体内で明らかにすることが大きな特徴である。さらに、統合的にデータベース化し解析することにより、ヒト及びウイルス要因の両方を考慮した知見を得ることを目的とする。
研究方法
ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針に従い、全国34施設より検体及び付帯情報を収集。1)ゲノムワイド関連解析(GWAS)及びDigiTag2法による検証。2)臨床研究:複数のコホートにおけるIL28BやITPA SNPの有用性を検証。3)IL28B機能解析から応用研究。4)SNPデータ及び付帯情報を統一的に管理する肝炎ウイルス統合データベースを構築。
結果と考察
平成22年12月現在、慢性ウイルス性肝疾患患者から合計3,820検体を得た。1)GWAS解析:PEG-IFN/RBV併用療法の治療効果に関連するIL28B以外のSNPを複数同定。貧血及び血小板減少に関連するITPA SNPの同定。2)コホート研究:a)C型肝炎薬剤応答性データマイニング解析;ITPA SNP、治療前Hb値、Ccrの組み合わせにより、貧血リスクを層別化。b)住民コホートにおけるHCV自然治癒率;IL28B SNPが最も重要な因子。3)機能解析:a)IL28B SNPとISG発現;IL28Bメジャーでは肝内ISG発現と末梢血ISG発現は有意に相関、マイナーでは相関なし。b)オミックス解析;IL28B遺伝子上流のCpGアイランドにおいて無効群が著効群と比較して有意に高いメチル化状態。c) IFNλを制御する低分子化合物のスクリーニングによりToosendaninを同定。d) 次世代シークエンサーを用いたHCV 1b準種の包括的ゲノム解析系を構築。4)肝炎ウイルス統合データベースの構築:ウイルス遺伝子情報、SNP情報、臨床情報に加えて遺伝子発現情報を統合し、肝炎ウイルス統合データベースのプロトタイプを完成させ、その一部を研究分担者限定で公開した。
結論
本データベースを参照することにより、患者SNPsとウイルス変異の組み合わせから病態進展の予測及びハイリスク群の抽出が可能となり、テーラーメイド治療への展開が期待される。また、適切な治療法の選択および新たな治療法の開発で患者の予後を改善するのみならず、医療費の低減に繋がり、社会福祉に寄与することができる。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201030031Z