C型肝炎における新規治療法に関する研究

文献情報

文献番号
201030015A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎における新規治療法に関する研究
課題番号
H21-肝炎・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 文孝(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 肝臓センター)
研究分担者(所属機関)
  • 豊田 成司(北海道厚生連札幌厚生病院 消化器科)
  • 考藤 達哉(大阪大学大学院医学系研究科樹状細胞制御治療学)
  • 朝比奈 靖浩(武蔵野赤十字病院 消化器科)
  • 森屋 恭爾(東京大学医学部附属病院 感染制御部)
  • 坂本 穣(山梨大学医学部 第一内科)
  • 酒井 明人(金沢大学医学部附属病院 光学医療診療部)
  • 谷口 雅彦(北海道大学医学部 第一外科)
  • 梅村 武司(信州大学医学部 内科学)
  • 今村 道雄(広島大学大学院分子病態制御内科学 消化器内科学)
  • 瀬崎 ひとみ(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 肝臓センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
31,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
C型慢性肝炎Genotype1型、高ウイルス量の症例では持続型インターフェロン(PEG-IFN)とリバビリン(RBV)併用療法が施行されているが、十分な効果が得られていない。C型肝炎に対する新規治療薬、治療法の効果と効果予測因子について基礎的、臨床的に研究を行い、新規治療法の確立を目指すことが目的である。
研究方法
C型慢性肝炎の難治性症例(genotype 1型、高ウイルス量)でPEG-IFN,RBVにTelaprevir(TVR)を加えた3者併用療法の治療成績を解析し、効果に関係する因子についても検討した。さらにプロテアーゼ阻害剤単剤投与、PEG-IFN+RBV+NS5A阻害剤、プロテアーゼ阻害剤+NS5A阻害剤の成績を検討した。また基礎的研究としてキメラマウスやHCVの新たな培養系を用いてプロテアーゼ阻害剤、RNA ポリメラーゼ阻害剤、スタチン製剤等使用時の効果について研究を行なった。
結果と考察
PEG-IFN+RBV+ TVR併用療法24週間投与を施行した症例のSVR率はnaive 76%、relapser 90%、前治療無効例27%と良好であった。治療効果には、IL28BのSNPsとHCV Core領域の70番目のアミノ酸置換が関係していた。さらにNS5A阻害剤(60mg)+PEG-IFN+RBVの24週間投与では、投与終了12週目でnaive 4例中4例(100%)、前治療無効例4例中2例(50%)、でHCV RNAの陰性化が得られている。またプロテアーゼ阻害剤+NS5A阻害剤24週間併用療法の第Ⅱ相試験では、前治療無効例で終了後8週目の時点で9例中9例(100%)でHCV RNAの陰性化が得られている。基礎的検討としてHCV感染マウスを用いてプロテアーゼ阻害剤とRNA ポリメラーゼ阻害剤の併用投与を行うとHCVの消失が得られた。またマウスモデルにおいてFluvastatin投与により肝臓組織中のHMG CoA reductase蛋白発現は低下し、さらに肝組織中の脂質含有量も減少していた。
結論
新規治療薬であるTVRは、PEG-IFN+RBVとの併用で高いSVR率を認めている。またプロテアーゼ阻害剤+NS5A阻害剤併用療法は、高齢患者、前治療無効例、合併症のある患者への治療として期待されている。今後これら新規治療薬の効果を臨床的に検討し、効果に関係する因子について基礎的研究も含め検討する予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201030015Z