データマイニング手法を用いた効果的な治療方法に関する研究

文献情報

文献番号
201030007A
報告書区分
総括
研究課題名
データマイニング手法を用いた効果的な治療方法に関する研究
課題番号
H20-肝炎・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石橋 大海(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター臨床研究センター)
  • 小林 正和(独立行政法人国立病院機構 まつもと医療センター まつもと病院)
  • 林 茂樹(独立行政法人国立病院機構 災害医療センター)
  • 中牟田 誠(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター)
  • 三田 英治(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター)
  • 矢倉 道泰(独立行政法人国立病院機構 東京病院)
  • 高野 弘嗣(独立行政法人国立病院機構 呉医療センター)
  • 肱岡 泰三(独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター)
  • 室 豊吉(独立行政法人国立病院機構 大分医療センター)
  • 小松 達司(独立行政法人国立病院機構 横浜医療センター)
  • 正木 尚彦(国立国際医療研究センター)
  • 太田 肇(独立行政法人国立病院機構 金沢医療センター)
  • 佐藤 丈顕(独立行政法人国立病院機構 小倉医療センター)
  • 米田 俊貴(独立行政法人国立病院機構 京都医療センター)
  • 島田 昌明(独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター)
  • 中尾 一彦(長崎大学 消化器内科)
  • 矢野 博久(久留米大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
43,220,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、新しい情報解析システムであるデータマイニング(Dm)を用いて、効果的なウイルス肝炎に対する治療法を具体的に提示するとともに、IFN治療に関する患者意識調査や主治医調査も行い、IFN治療の妨げとなる因子を明らかにすることを目的とする。
研究方法
 2004年12月から2009年3月末までの期間に国立病院機構および国際医療センターの30施設でPegIFN/RBV治療が導入されたHCV1型高ウイルス症例1987例を、前向きに症例登録をおこない、効果判定をおこなった。
結果と考察
 Dm解析結果により、HCV1型高ウイルス症例に対するPegIFN/RBV治療効果には、①総RBV量/体重、②AFP値、③年齢の3因子が、また、副作用による治療中断については①AFP値、②年齢、AST値が重要な因子であることを明らかにした。
 AFP値は、C型慢性肝疾患患者の10年後の肝癌発生リスクを示す新たなマーカーだが、PegIFN/RBV治療の治療効果、副作用による治療中断にも関与していることを新たに明らかにした。
 また、B型慢性肝炎のHBeAgのセロコンバージョンには、治療前HBeAg量に代表されるウイルス増殖能と肝の炎症の指標の代表される肝実質炎の程度が関与していることを明らかにした。
 肝炎患者に対するIFN治療の現状を明らかにする目的での患者アンケート調査では、治療未経験者で医師から治療を勧められるも患者の意思で断った理由とは(忙しく入院や通院ができないから)35.1%、(副作用が心配だから)27.5%、の2つが主なものであった。
 C型慢性肝炎患者の主治医を対象としたアンケート調査では、保険病名がC型慢性肝炎である外来通院患者のうち、36.5%から82.1%がIFN治療対象者と考えられた。
結論
 新しい情報解析システムであるデータマイニング(Dm)を用いて、効果的なウイルス肝炎に対する治療法を具体的に提示することを目的に検討をおこなったが、平成20年度から22年度の3年間において、計画どおり、目的とする成果を得ることが出来た。

公開日・更新日

公開日
2011-06-06
更新日
-

文献情報

文献番号
201030007B
報告書区分
総合
研究課題名
データマイニング手法を用いた効果的な治療方法に関する研究
課題番号
H20-肝炎・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石橋 大海(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
  • 小林 正和(独立行政法人国立病院機構 まつもと医療センター 松本病院)
  • 林 茂樹(独立行政法人国立病院機構 災害医療センター)
  • 中牟田 誠(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター)
  • 三田 英治(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター)
  • 矢倉 道泰(独立行政法人国立病院機構 東京病院)
  • 高野 弘嗣(独立行政法人国立病院機構 呉医療センター)
  • 肱岡 泰三(独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター)
  • 室 豊吉(独立行政法人国立病院機構 大分医療センター)
  • 小松 達司(独立行政法人国立病院機構 横浜医療センター)
  • 正木 尚彦(国立国際医療研究センター)
  • 太田 肇(独立行政法人国立病院機構 金沢医療センター)
  • 佐藤 丈顕(独立行政法人国立病院機構 小倉医療センター)
  • 米田 俊貴(独立行政法人国立病院機構 京都医療センター)
  • 島田 昌明(独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター)
  • 中尾 一彦(長崎大学 消化器内科)
  • 矢野 博久(久留米大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 新しい情報解析システムであるデータマイニング(Dm)を用いて、効果的なウイルス肝炎に対する治療法を具体的に提示することを目的とした。
研究方法
 国立病院機構および国際医療センターの30施設の多施設共同研究として実施した。解析手法として統計解析以外にDm解析を用いた。
結果と考察
 以下の点を明らかにした。
 HCV1型高ウイルス症例に対するペグインターフェロン(PegIFN)/リバビリン(RBV)PegIFN/RBV治療効果には、①総RBV量/体重、②AFP値、③年齢の3因子が、また、副作用による治療中断については①AFP値、②年齢、AST値が重要な因子である。
 AFP値は、C型慢性肝疾患患者の10年後の肝癌発生リスクを示す新たなマーカーだが、PegIFN/RBV治療の治療効果、副作用による治療中断にも関与している。
 B型慢性肝炎のHBeAgのセロコンバージョンには、治療前HBeAg量に代表されるウイルス増殖能と肝の炎症の指標の代表される肝実質炎の程度が関与している。
 また、肝炎患者を対象としたアンケート調査では、治療未経験者で医師から治療を勧められるも患者の意思でインターフェロン(IFN)治療を断った理由とは(忙しく入院や通院ができないから)35.1%、(副作用が心配だから)27.5%、の2つが主なものであった。
 肝炎患者主治医を対象としたアンケート調査からは、保険病名がC型慢性肝炎である外来通院患者のうち、36.5%から82.1%がIFN治療対象者と考えられた。
結論
 C型肝炎やB型肝炎に対する効果的な治療法を確立するため、それに関与する具体的な因子を明らかにした。患者、主治医アンケートからIFN治療導入の問題点、また治療対象者の頻度を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2011-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201030007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 Dm決定木法には、2つの関数分岐変数決定指標、関数(Gini-Diversity-Index:ジ二-インデックス:GDIと情報利得比:Information Gain Ratio:IGR)が存在し、どちらの指標、関数を用いるかで、解析結果が異なることを明らかにした(図17)。Dm手法の一般普及にともない、今後、この差異の存在を周知させる必要があることから、(データマイニング、決定木活用の手引き-2つの決定木法を正しく使う為に)というテキストを作成した。
臨床的観点からの成果
 本研究の目標は、日常診療で入手可能な医療情報、すなわち患者背景因子、血液検査所見等を用いて、HCV1型高ウイルス症例(HCV1H)に対するPegIFN/RBV治療を、どのように展開すれば、安全にかつより高い治療成績がえられるのかを見出すことである。具体的には、どのようにして事前に治療効果を予測すべきなのか、また副作用を回避しながらできるだけ高い治癒率を導き出す治療法とは何かを導き出すことができた。
ガイドライン等の開発
 特になし。
その他行政的観点からの成果
 肝炎患者に対するIFN治療の現状を明らかにする目的でおこなった患者アンケート調査結果は、平成21年2月25日の厚生労働省のホームページで公開された。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/02/dl/h0225-2b.pdf
その他のインパクト
 2010年2月16日の朝日新聞にて、上記患者アンケート調査結果について紹介された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
23件
その他論文(和文)
46件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
67件
学会発表(国際学会等)
37件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
八橋 弘
特集/ウイルス肝炎-治療の最前線-,《トピックス》データマイニングを用いた治療効果予測
Modern Phisician , 33 (4) , 491-494  (2013)
原著論文2
八橋 弘,河村佳洋,山内 勉,他
データマイニングを用いたC型肝炎インターフェロン治療の効果予測.医療におけるデータマイニング講座
国際医療福祉総合研究所 HealthCare Innovation 21 研究会編集 , 43-55  (2012)
原著論文3
Tateyama M, Yatsuhashi H, Ishibashi H, et al.
Alpha-fetoprotein above normal levels as a risk factor for the development of hepatocellular carcinoma in patients infected with hepatitis C virus
J Gastroenterol. , 46 (1) , 92-100  (2011)
原著論文4
Kurosaki M, Yatsuhashi H, Izumi N, et al.
Pretreatment prediction of response to peginterferon plus ribavirin therapy in genotype 1 chronic hepatitis C using data mining analysis
J Gastroenterol. , 46 (3) , 401-409  (2011)
原著論文5
Taura N, Yastuhashi H, Sata M, et al.
The incidence of hepatocellular carcinoma associated with hepatitis C infection decreased in Kyushu area
Med Sci Monit. , 17 (2) , 7-11  (2011)
原著論文6
八橋 弘,石橋大海
IFN延長投与の基準,Peg- IFN/RBV併用療法の延長投与ではRBV総投与量/体重比3.0以上を目指す
第27回 犬山シンポジウム記録集 C型肝炎 , 59-65  (2010)
原著論文7
橋元 悟,八橋 弘
PEG-IFN+RBV併用療法における体重あたりRBV総投与量の意義
肝胆膵 , 61 , 119-126  (2010)
原著論文8
八橋 弘
データマイニング解析と治療戦略
Medical Practice , 27 (1) , 117-118  (2010)
原著論文9
八橋 弘
データマイニングを用いた治療効果予測
医学のあゆみ , 229 (1) , 90-95  (2009)
原著論文10
八橋 弘,山内 勉,河村佳洋
特集/C型肝炎のすべて・2009,ウイルスゲノム・ヒトゲノム情報の治療への応用,データマイニング(Data mining)を用いた治療効果予測
肝胆膵 , 57 (5) , 851-859  (2008)

公開日・更新日

公開日
2016-05-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
201030007Z