国内で流行するHIV遺伝子型および薬剤耐性株の動向把握と治療方法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201029028A
報告書区分
総括
研究課題名
国内で流行するHIV遺伝子型および薬剤耐性株の動向把握と治療方法の確立に関する研究
課題番号
H22-エイズ・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
杉浦 亙(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター 感染・免疫研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 桑原 健(独立行政法人国立病院機構南京都病院 薬剤科)
  • 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科 内科学講座 第二内科)
  • 貞升 健志(東京都健康安全研究センター 微生物部)
  • 南 留美(独立行政法人国立病院機構九州医療センター 免疫感染症科臨床研究部)
  • 近藤 真規子(神奈川県衛生研究所 微生物部)
  • 藤井 毅(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター)
  • 白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター エイズ先端医療研究部)
  • 石ヶ坪 良明(横浜市立大学大学院医学研究科 病態免疫制御内科学)
  • 潟永 博之(独立行政法人国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)
  • 加藤  真吾(慶應義塾大学医学部 微生物学・免疫学教室)
  • 西澤 雅子(国立感染症研究所 エイズ研究センター 第2研究グループ)
  • 松下 修三(熊本大学エイズ学研究センター 病態制御分野)
  • 巽 正志(国立感染症研究所 エイズ研究センター 第2室)
  • 椎野 禎一郎(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 仲宗根 正(国立感染症研究所 エイズ研究センター 第1研究グループ)
  • 森 治代(大阪府立公衆衛生研究所 ウイルス課)
  • 健山 正男(琉球大学大学院医学研究科感染病態制御学講座 分子病態感染症学分野)
  • 太田 康男(帝京大学医学部 内科学講座)
  • 田邊 嘉也(新潟大学医歯学総合病院 第2内科)
  • 伊藤 俊広(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター 血液内科)
  • 上田 幹夫(石川県立中央病院 血液病治療部)
  • 内田 和江(埼玉県衛生研究所 ウイルス担当)
  • 木村 昭郎(広島大学原爆放射線医科学研究所 ゲノム疾患治療研究部門 血液内科)
  • 福武 勝幸(東京医科大学医学部 臨床検査医学科)
  • 佐藤 武幸(千葉大学医学部附属病院 感染症管理治療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
84,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国における薬剤耐性HIVの発生動向とその分子疫学を明らかにし、それを踏まえて薬剤耐性HIV発生の予防法と薬剤耐性症例の治療法を立案する。
研究方法
目的達成のために以下の研究を遂行する。
(1) 薬剤耐性動向調査研究:薬剤耐性HIVの発生動向把握のために新規HIV/AIDS診断症例を対象に薬剤耐性HIV調査を実施する。各症例のプロテアーゼ、逆転写酵素、インテグラーゼ各領域の遺伝子配列解析を行い薬剤耐性変異の有無を判定する。 (2) 新規HIV/AIDS診断症例の疫学研究: HIV感染症の実態把握のために新規HIV/AIDS診断症例のgagおよびenv遺伝子配列によるサブタイピングとBEDアッセイによる感染時期の推測を行う。また微少薬剤耐性集族の検出技術開発を行う。合併HBV、HCVについて調査を行う。(3) 薬剤耐性検査の質的管理研究:外部精度管理を実施する。 (4) 薬剤血中濃度モニタリング研究:抗HIV薬剤の血中濃度を指標に至適治療の実践するために検査提供と関連する研究を実施する。(5) 情報統合・分析研究:膨大な調査研究データを統合、分析し有益な情報を発信する。
結果と考察
以下の成果を上げた。(1)薬剤耐性動向調査研究: 524症例の解析を行った結果64例(12.5%)に薬剤耐性変異が確認され、前年度に比して増加が確認された。薬剤クラス別内訳は核酸系RT阻害剤:29例(5.7%)、非核酸系RT阻害剤:12例(2.4%)、プロテアーゼ阻害剤:29例(5.7%)、インテグラーゼ阻害剤:0例(0%)、また2クラス以上の耐性を持つ症例が6例(1.1%)であった。(2)薬剤耐性HIV発生機序の解析研究:116検体のenv C2V3領域の遺伝子配列を行った結果11%がX4指向性と判定された。肝炎の合併率はHBVが11.5%、HCVが4.4%であった。(3)薬剤耐性検査の質的管理: 11施設が外部精度管理に参加し、その結果いずれの施設も精度の高い検査を実施している事が確認された。(4)薬剤血中濃度測定研究: 12144件のHPへのアクセスがあり、パスワード取得者は202名になった。また626件の検査が行われた。(5) 情報統合・分析研究:研究班で収集した遺伝子情報を統合するデータベースの作製に着手した。
結論
我が国では新規診断症例において薬剤耐性HIVの発生が増加傾向にある事が明らかにされた。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201029028Z