ポピュレーション戦略及びハイリスク戦略による若者に対するHIV予防啓発手法の開発と普及に関する社会疫学的研究

文献情報

文献番号
201029021A
報告書区分
総括
研究課題名
ポピュレーション戦略及びハイリスク戦略による若者に対するHIV予防啓発手法の開発と普及に関する社会疫学的研究
課題番号
H21-エイズ・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
木原 雅子(京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻社会疫学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 鬼塚 哲郎(京都産業大学文化学部)
  • 木原 正博( 京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻社会疫学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多様な若者に対する啓発用webサイトの効果的普及方法を、社会疫学的手法により開発し普及する。
研究方法
(1)日本人若者の予防介入研究:若者のニーズに即した啓発用サイトと同サイトへの誘導用QRコード付きカード(啓発カード)を開発し、ピア(関西圏大学生グループ)による、(a)知人ネットワークを介した配布[知人配布]、(b)イベントでの無差別配布[イベント配布]、(c)web上のソーシャルネットワーク[SNS]を介したPR[SNS配布])、(d)全国45保健所におけるHIV検査時のカード配布を行い、誘導効率(配布枚数当たりのアクセス数)、アクセス深度(平均ページビュー数)、波及効果(友人ネットワーク間の受け渡し)の観点から検討した。波及効果は、独自開発した「追跡的固有QRコード法」を用いて測定した。
(2)滞日ブラジル人若者の予防介入研究:ピアと共同開発したポルトガル語の啓発用PCサイトを、ブラジル保健省と協働で招聘したブラジル人のHIV陽性者による、(a)各地のブラジル人学校での講演会、(b)ラジオ、テレビ、(c)広域ポルトガル語情報紙による普及を試みた。
結果と考察
(1)日本人若者の予防介入研究:アクセス解析の結果、誘導効率は、知人配布が86.4%と際立って高いこと、アクセス深度は、イベント配布で12頁と著しく高いこと、SNS配布では、関西圏からの情報発信にもかかわらず、全国からアクセスが生じたこと、保健所配布では、第5ゼネレーションという高い波及効果が生じたことが観察された。
(2)滞日ブラジル人若者の予防介入研究:アクセス解析の結果、ユーザーによる月平均のアクセス回数は、普及活動前401件に対し、介入後は752件と約2倍に増加した。なお、質的調査により、ブラジル人学校における講演会の介入効果の傾向が示唆された。
結論
誘導効率では知人配布、アクセス深度ではイベント配布、波及効果ではHIV検査配布、全国拡大ではSNS配布がそれぞれ有効であることが判明し、各配布法の特徴を適切に生かし、利用することで、様々な若者層に啓発が可能であることが示唆された。一方、滞日ブラジル人の若者では、HIV陽性者ピアとの協働による広報活動の有効性が示され、サイバー空間を利用した様々な若者を対象とした新たな啓発プログラムの理論的・実践的基礎を確立した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201029021Z