HIV感染防御免疫誘導に関する研究

文献情報

文献番号
201029014A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染防御免疫誘導に関する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
俣野 哲朗(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 保富 康宏(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター)
  • 三浦 聡之(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター)
  • 森川 裕子(北里大学 北里生命科学研究所)
  • 横山 勝(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
  • 寺原 和孝(国立感染症研究所 免疫部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
40,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV感染拡大はグローバルな視点で取り組み克服すべき国際的重要課題である。本研究は、この問題解決に必要な予防エイズワクチン開発を目的とし、HIV複製抑制に結びつく防御免疫反応の選択的誘導のための論理基盤確立を目指すものである。我々が開発を進めているセンダイウイルス(SeV)ベクターを用いた細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導エイズワクチンは、エイズモデルで初めて有効性を示した点で注目され、接種者全員への効果は期待できないものの集団レベルでのHIV感染拡大抑制効果を期待したワクチンとして国際共同臨床試験計画が進展中である。本研究では、このCTL誘導ワクチンの最適化と、さらに有効な次世代ワクチン開発に結びつく基礎研究を進めることとした。
研究方法
(1)CTL誘導ワクチンのデリバリーシステムの研究、(2)CTL誘導抗原選択法の研究、および(3)ヘルパーTリンパ球(HTL)反応と中和抗体反応についての研究を行った。
結果と考察
平成22年度には、(1)CTL誘導ワクチンのデリバリーシステム最適化に向けた研究として、SeVベクターの接種経路の解析を行い、経鼻接種が有利であることを明らかにした。(2)選択するCTL標的抗原の最適化に向けた研究では、日本人HIV感染者の解析からCTL逃避と考えられる変異の同定を進めるとともに、CTLの選択圧に基づく逃避変異の置換を検出した。さらに、抗原特異的CTLのレベルとウイルス複製抑制能の相関の有無の検討を行い、Gag特異的CTLに加えVif特異的CTLが高いウイルス複製抑制能を有する可能性を見出した。(3)HTL反応に関する研究では、エイズモデルにて、感染慢性期の体内ウイルス量とHTLの多機能性との逆相関を確認した。中和抗体誘導に関する研究では、HIV Env gp120の構造計算からV1/V2ループが中和反応に影響する機序を示唆する結果を得た。
結論
これらの結果は、エイズワクチンのデリバリーシステムの最適化と選択抗原の最適化に結びつく重要な成果である。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201029014Z