日和見感染症の診断/治療およびそれを端緒とするHIV感染者の早期発見に関する研究

文献情報

文献番号
201029013A
報告書区分
総括
研究課題名
日和見感染症の診断/治療およびそれを端緒とするHIV感染者の早期発見に関する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
安岡 彰(長崎大学 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 照屋 勝治(国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)
  • 片野 晴隆(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 山本 政弘(国立病院機構九州医療センター 免疫感染症科)
  • 宇野 健司(奈良県立医科大学 感染症センター)
  • 永井 英明(国立病院機構東京病院 呼吸器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
17,820,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIVの日和見感染症の発生動向、日和見感染症の診断と治療法の開発、日和見感染症の視点からのHIV感染者の早期発見のためのデータ蓄積を行った。
研究方法
次の項目について検討した。
1)日和見合併症の動向
2)重点合併症の診断・治療法の開発
 (1) 免疫再構築症候群(IRIS)の発症機序・IRIS関連非結核抗酸菌(MAC)症。
 (2) RT-PCR法を用いたニューモシスチス肺炎(PCP)の早期診断
 (3) クリプトコッカス髄膜炎の検討
 (4) HIV合併結核の臨床像
 (5) 日本人HIV感染者におけるリファブチンの薬物動態
 (6) カポジ肉腫:MSMの抗HHV-8抗体陽性率
 (7) HIV合併結核のIFN-γ検査法
3)病院におけるHIV検査の推進のための日和見合併症の特徴
結果と考察
1)総エピソード数は567回で88.9%が無治療例であった。PCP、サイトメガロウイルス感染症、カンジダ症、活動性結核と続いた。指標以外の悪性腫瘍調査では2009年は26例で一般人口の罹患率の1.26倍であった。肝臓癌、肺癌、胃癌、白血病の順であった。
2)(1)IRIS発症例ではIRIS 発症時にTh1/Th2比が著明に上昇した。MAC症の生命予後は悪くないが経過が遷延化する症例が存在した。
 (2)PCRは感度は100%で、特異度は81.6%であった。
 (3)症状は比較的軽微な割合が高かった。血清クリプトコッカス抗原検査が有用であった。30%でIRISによる臨床症状の悪化が見られ、12か月後の生存率は72%であった。
 (4)治療薬の有害事象は54.6%の症例で認められた。耐性検査では、INH耐性が4.9%、RFP耐性が2.9%、多剤耐性が2.0%であった。
 (5)血中動態のデータが得られた。
 (6)HIV陰性MSMの15.6%が抗HHV-8抗体陽性であった。
 (7)リンパ球数の減少とともにIGRAの陽性率は低下し、ELISPOT法に比べQFTで著しかった。
3)STDを契機にHIV感染が判明した年毎の割合は、5?30%で梅毒、尖圭コンジローマ、赤痢アメーバ症の順であった。STDクリニックで受診者に対してHIV抗体検査を勧める割合は5%以下と低率であった。血清HHV-8陽性者では陰性者と比較し、有意に血小板値は低値であった。
結論
日本におけるHIV関連日和見感染症と悪性腫瘍の動向及び新しい診断と治療、合併感染症を端緒とするHIV感染者の発見についてのデータを集積した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201029013Z