高病原性鳥インフルエンザの診断・治療に関する国際連携研究

文献情報

文献番号
201028046A
報告書区分
総括
研究課題名
高病原性鳥インフルエンザの診断・治療に関する国際連携研究
課題番号
H22-新興・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
河内 正治(独立行政法人 国立国際医療研究センター 手術部)
研究分担者(所属機関)
  • 布井 博幸(宮崎大学医学部)
  • 本間 栄(東邦大学医学部)
  • 鈴木 和男(千葉大学大学院 医学研究院)
  • 山本 健二(独立行政法人 国立国際医療研究センター国際臨床研究センター)
  • 大島 正道(国立感染症研究所 免疫部)
  • 川上 和義(東北大学大学院医学系研究科)
  • 赤池 孝章(熊本大学大学院医学薬学研究部)
  • 中島 典子(国立感染症研究所・感染病理部)
  • 影山 努(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
  • 岡本 竜哉(熊本大学大学院医学薬学研究部)
  • 佐多徹太郎(国立感染症研究所・感染病理部)
  • 長谷川秀樹(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター)
  • 志賀 由佳(独立行政法人 国立国際医療研究センター 手術部 )
  • 佐藤 正規(独立行政法人 国立国際医療研究センター 手術部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.高病原性鳥インフルエンザヒト感染について、疫学/病理学/免疫学的側面から病態と実態を解析し、診断/治療ガイドラインを作成してその本態と治療法を社会に提言する。
2.複数の国と国際医療共同研究を推進する。
研究方法
1.インフルエンザ(H5N1)誘発の劇症型ARDS 患者の臨床像の調査と解析
・ベトナム等の医療機関と提携、インフルエンザ(H5N1)を含む劇症型ARDS 患者の解析。
・ベトナムなど、現地におけるインフルエンザ(H5N1)に対する治療方法の共同開発。
2.治療法の検証(作成したモデル動物を用いる)
・作成した劇症型ARDSモデルマウスによる薬剤治療効果の検証
・肺胞洗浄液中/血液中のサイトカイン等、抹消血中の免疫細胞機能の解析
3.鳥インフルエンザ(H5N1)迅速診断法の開発。
・ベットサイドで使用可能な迅速診断キットの開発。
・ 遺伝子解析法を用いた迅速な確定診断法の開発。
4.高病原性トリインフルエンザヒト感染の診断・治療の手引きを作成。
結果と考察
22年度はハノイ国立小児病院においてさらなるBio-Markersの測定を行なった。また、完成した3タイプの動物モデルを用いて、臨床病態から推定されるインフルエンザ(H5N1)に効果ある治療法について治療実験に取り掛かり、LPSモデルとVILIモデルで抗炎症薬であるシベレスタットの有効性が検証されつつある。これらの結果から、臨床的には安全性がすでに確立されている抗炎症薬などが候補に挙げられ、また抗菌薬の治療効果についても治療実験を行なっている。H5N1-FARDSの治療薬としては一定の治療効果も得られたが症例数の不足から有意な結果は得られていない抗炎症薬など、臨床面からは今後さらなる鳥インフルエンザ臨床症例の集積が必要と考えられる。
結論
インフルエンザ(H5N1)感染による劇症型ARDS患者の病態解析とその原因を究明することは将来のパンデミック対策としても重要であり、臨床・基礎医学両面からの緊密な提携をもった研究が不可欠である。本研究班では、海外発生地域(ベトナム/インドネシア)におけるヒトH5N1症例と劇症型ARDS病態のモデル動物を使用して、インフルエンザ(H5N1)型ARDSの迅速特異診断および治療法を提案し、「手引き」等を作成してその知識を広く人口に膾炙することが最終目標であり、今後もこの目的に沿ったさらなる研究展開を予定している。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028046Z