現在、国内で分離・同定できないウイルス性出血熱等の診断等の対応方法に関する研究

文献情報

文献番号
201028038A
報告書区分
総括
研究課題名
現在、国内で分離・同定できないウイルス性出血熱等の診断等の対応方法に関する研究
課題番号
H22-新興・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
森川 茂(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 甲斐 知惠子(東京大学 医科学研究所実験動物研究施設)
  • 高田 礼人(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター)
  • 安田 二朗(長崎大学 熱帯医学研究所新興感染症学分野)
  • 有川 二郎(北海道大学 大学院医学研究科病原微生物学)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 水谷 哲也(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 遠藤 大二(酪農学園大学 獣医放射線学教室)
  • 新井 智(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
43,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
エボラウイルス等は1種病原体でBSL4施設以外では取扱えない。新種の出血熱ウイルスの新興やその他の重篤な新興再興ウイルス感染症で新種ウイルスの出現や、動物への感染が拡大している。これらの実験室診断を、新種ウイルス対応するために、診断法の改良や新規診断法の開発を行う。これらを用いていくつかの地域で疫学的解析を実施して検証する。また、感染宿主域を拡大しているウイルスでは、その疫学や宿主域拡大に係る機構と病原性に関して明らかにし、人への感染拡大のリスク評価を行う。さらに、ウイルス粒子形成とその阻害法に関する基礎研究を進展させる。
研究方法
チャパレ(ボリビア)、ルジョ(ザンビア・南ア)、ブンディブギョエボラウイルスの診断法の改良と開発を行った。ラッサウイルスのRT-LAMP法を、ニパ、ヘンドラウイルスのRT-Smart-Amp法を開発した。国内外のトガリネズミ類からハンタウイルスを検出し、分子疫学的解析をした。国内のドブネズミの牛痘ウイルス抗体調査を行った。ウイルス遺伝子検出法の改良、至適化を検討した。
ウイルス学的、分子生物学的解析では、サルから分離されたCDVのサルに対する病原性にSLAM指向性の馴化の必要性の有無を解析した。細胞性因子Tetherinに対するアンタゴニスト機構をナイロウイルスが持つか否かを解析した。
結果と考察
チャパレ、ルジョ、ブンディブギョエボラウイルスの診断法の改良と開発を行い、ラッサウイルスのRT-LAMP法、ニパ、ヘンドラウイルスのRT-Smart-Amp法を開発した。国内外のトガリネズミ類からハンタウイルスを検出し、分子疫学的解析をした。国内のドブネズミの牛痘ウイルス抗体調査では陽性個体は検出されなかった。網羅的なウイルス遺伝子検出法を改良した。一方、サルから分離されたCDVのサルに対する病原性にSLAM指向性の馴化が不要であった。細胞性因子Tetherinに対するアンタゴニスト機構をナイロウイルス(ブニヤ)が持つ可能性が示唆された。次年度以降は、今年度の研究を継続発展させたい。
結論
現在、国内で分離・同定できないウイルス性出血熱等の診断等に関しては、対象ウイルスの遺伝子検出法・抗原検出法・抗体検出法の整備を進め、これまで未整備の診断法の整備が進展した。新型ウイルスや新興ウイルスに対応可能な遺伝子検出法にも進展が見られた。一方、いくつかのウイルスで、感染宿主域拡大・分布域の拡大に関する機構を解析し、リスクを評価した。ウイルス抵抗性宿主因子Tetherinに関する新たな知見も得られた。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028038Z