地方自治体との連携による新型インフルエンザおよび高病原性インフルエンザ変異株、薬剤耐性株等の早期検出、検査診断系の改良および流行把握に関する研究

文献情報

文献番号
201028037A
報告書区分
総括
研究課題名
地方自治体との連携による新型インフルエンザおよび高病原性インフルエンザ変異株、薬剤耐性株等の早期検出、検査診断系の改良および流行把握に関する研究
課題番号
H22-新興・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小田切 孝人(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 皆川 洋子(愛知県衛生研究所)
  • 藤田 信之(独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジセンター)
  • 佐藤 裕徳(国立感染症研究所 病原体ゲノム研究センター)
  • 齋藤 玲子(新潟大学医歯薬学系 国際保健学)
  • 影山 努(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
  • 高下 恵美(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
24,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型インフルエンザA/H1H1pdm09ウイルスによるパンデミック終息後もハイリスク変異株の出現を迅速に捉えるサーベイランス網を維持するために、各地方ブロック代表からなるコア・サポート地衛研組織を構築し、本研究班と共同開発した新規の検査法を全国地衛研に普及させ、薬剤耐性株サーベイランスを展開する。一方、流行ウイルスの系統的トレンド把握、次シーズンの流行株の変化予測を可能にする機能的遺伝子解析法の開発とワクチン製造株の抗原性変化を構造的に捉えるモデル開発を目的とした。
研究方法
地方衛生研究所全国協議会(地全協)感染症部会と連携し、コア・サポート地衛研組織の構築。
TaqManPCR法を導入した薬剤耐性株H275Y検出系の構築と地衛研への普及。
コンピュータシュミレーションによるウイルスHA遺伝子の変異、構造、機能、進化解析。
結果と考察
コア地衛研6機関、サポート地衛研5機関からなるコア・サポート地衛研組織を構築した。本研究班とコア・サポート地衛研で共同開発したTaqManPCRによるオセルタミビル耐性ウイルス検査系の改良を行い、全国地衛研へ技術移転して全国規模での薬剤耐性株サーベイランスを展開した。その結果、過去2シーズンとも耐性株の出現率は1~2%程度であることが分かった。一方、2009年A香港型(H3N2)およびB型ワクチン株の鶏卵馴化による抗原性変化について、HA遺伝子の機能的解析を行った。その結果、鶏卵馴化によりHAの受容体結合ポケット周辺の変異を獲得して抗原性が変化するリスクがあることがわかった。以上のことから、感染研と地衛研の連携が強化されたことにより効果的な株サーベイランスへの第一歩を踏み出すことができ、今後高病原性などハイリスク変異株を早期に捕捉するサーベイランスへと発展させることが期待できる。一方、ウイルス遺伝子変化をより機能的に捉え、その後のウイルスの変化予測へと発展させる技術開発に着手したことから、それを応用したワクチン株選定が期待できる。
結論
全国ブロックごとのコア・サポート地衛研ネットワークが組織され、研究開発した新技術を薬剤耐性株サーベイランスへ導入できた。その結果、オセルタミビル耐性株は散発例のみでヒトーヒト間での感染拡大は無いことを確認した。一方、機能的遺伝子構造解析により、A香港型とB型のワクチン株の製造過程では、HA蛋白の受容体結合ポケット周辺に変化が起こり、抗原性が変化することがわかった。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028037Z