インフルエンザワクチンの有効性と安全性の向上のための理論基盤構築

文献情報

文献番号
201028036A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザワクチンの有効性と安全性の向上のための理論基盤構築
課題番号
H22-新興・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
石井 健(独立行政法人 医薬基盤研究所 創薬基盤研究部アジュバント開発プロジェクト)
研究分担者(所属機関)
  • 庵原 俊昭(独立行政法人国立病院機構三重病院)
  • 中山 哲夫(北里生命科学研究所 臨床ウイルス学)
  • 清野 宏(東京大学 医科学研究所 )
  • 長谷川 秀樹(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 迫田 義博(北海道大学 大学院獣医学研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、多岐にわたるインフルエンザワクチンの種類、投与方法、アジュバントによる免疫原性誘導のメカニズムの相違点や、副反応および副作用と呼ばれる現象の作用機序を解明することにより、より安全で有効性の高いインフルエンザワクチン開発に必須な生物学的、医学的理論基盤を構築することを目的とする。
研究方法
下記の5つの課題を細胞、動物を用いた実験的検証、またヒト臨床試験、ヒト検体を用いた臨床研究にて検証、解決していく。

<課題1:ワクチン・アジュバントの有効性と安全性を定義する分子レベルでの理論基盤構築>

<課題2:注射型と粘膜型ワクチンの有効性、安全性における相違点の理論基盤構築 >

<課題3:ウイルス株間の防御抗原の交差反応性と防御効果についての科学的根拠とその応用>

<課題4:ワクチンアジュバントによる副反応と副作用の分子メカニズム解明と解決方法の模索>

<課題5:ワクチンの「真」の有用性をヒトの検体を用いた免疫学的方法で検討する臨床研究> 

結果と考察
・各種インフルエンザワクチンの免疫学的機序を生体レベルで証明し、ヒトでの現象との関連性を示した(Koyama S et al Science Translational Medicine 2010)。
・ワクチンフォーラム2010を開催し、本研究班主催のアジュバントワークショップにてアジュバント開発研究の新展開や審査行政への提言を行い、また、本研究班を中心に「次世代アジュバント研究会」を発足させた。
・ワクチン接種後の小児の発熱の疫学的解析を行う目的で先の研究(BK-PIFA/KIB-PIAの健康小児を対象とした臨床試験:代表研究者 神谷齊)で見られた発熱者の血清を使用して、その原因を探るため血中の炎症性・発熱性サイトカイン等の検討をするための臨床研究の開始準備が完了した。
・新たなナノゲル型デリバリーシステムを開発した。
・経鼻ワクチン接種において、抗原性の異なる不活化全粒子ワクチン接種による免疫履歴がある場合には、全粒子ワクチンの一回経鼻接種で、新規ウイルスの感染を防御する事が明らかとなった。
・H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスの抗原変異株が、鶏にワクチンを接種している国で出現しているが、現在国内に備蓄されているH5亜型鳥インフルエンザワクチンの発症防御効果が十分でないことを明らかにした。
結論
・関連する免疫学、ワクチン学、感染症学、小児科学専門家がマトリックス状にクラスターが形成された。新たなワクチン研究のブレイクスルーと効率のよいワクチン開発、審査行政への貢献が期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201028036Z