バイオリスク管理の包括的強化及び必要な教材等の開発と実践の評価に関する研究

文献情報

文献番号
201028009A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオリスク管理の包括的強化及び必要な教材等の開発と実践の評価に関する研究
課題番号
H20-新興・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 和良(国立感染症研究所 バイオセーフティ管理室)
研究分担者(所属機関)
  • 佐多 徹太郎(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 森川 茂(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
  • 倉田 毅(富山県衛生研究所)
  • 御手洗 聡(財団法人結核予防会 結核研究所 抗酸菌レファレンス部)
  • 安藤 秀二(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
  • 重松 美加(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 藤本 秀士(九州大学医学研究院 保健学部門)
  • 奈良 武司(順天堂大学医学部 熱帯医学・寄生虫病学講座)
  • HELMUT PLENDINGER (ヘルムト プレンディンガー)(国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
38,383,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
バイオセーフティ及びバイオセキュリティ対策をバランスよく統合し、効果的にバイオリスクを低減(緩和)・管理するシステムの確立は、テロ対策、新興感染症対策の取り組みとして国際的かつ国内的な重要課題である。最終年度は、これまでに制作した教材を使い、バイオリスク管理の要である人材の育成に必要な研修訓練の教育プログラムの提案を行い、バイオリスク管理の整備と強化を目指した。
研究方法
バイオリスク管理に関する国内外の情報の収集・整理、関係法規の理解促進、アンケート調査やワークショップ等を通じた正しい知識の普及、シミュレーションによる具体的事例の収集とその成果の分析結果の報告、WEB学習、バーチャルリアリティ教材等の手法の効果検証、バイオリスク管理の常識の科学的検証実験、学会での成果物の発表、研修での制作教材の使用と改良、バイオリスク評価CDツールの完成、結核菌取り扱いに関する再調査等を行い、国際基準を参照に、総合的な人材育成プログラムを設計し、提案した。
結果と考察
病原体取扱い施設及び育成施設である国内の大学、学会等でのリスクコミュニケーションを加えたバイオリスク管理入門講座と、研究者向け反復講習のプログラムの実地運用を行い、その効果と受容を試験および主観的評価により確認し、プログラムの改良を行った。病院関係者に対する結核菌等の取り扱いセミナーの実施、教育実習用の安全キャビネットとその模型、キャビネット内気流の可視化デモ用装置の作製とそれを用いた研修の実施、病原体輸送用イエローカードの改訂、病原体等の梱包手順資料や病原体輸送者と同乗者の研修プログラムと資料の作成、WEB学習教材の作成と評価、バイオリスク評価ツールのCD化等を実施。バイオリスク管理専門官及び研究者用の講習プログラムを検討し、三種類の対象者群と環境別のプログラム提案を行った。
結論
本研究班は、バイオリスク管理の強化と担当人材育成に必要な教育教材を製作し、国際基準に基づく適切な教育プログラム案及び教育訓練計画を提案した。教材は国内の大学等の十分に設備整備がされていない所で特に有用で、今後無償で広く提供あるいは共同利用できる枠組みを検討する。達成目標や最低基準を設定して本プログラムを既存の教育・訓練の機構の中に組み入れることができれば、国内外規則とバイオリスク管理遵守の環境整備、科学者の説明技術の向上等を通じ、安全・安心な社会の構築に貢献できる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-05
更新日
-

文献情報

文献番号
201028009B
報告書区分
総合
研究課題名
バイオリスク管理の包括的強化及び必要な教材等の開発と実践の評価に関する研究
課題番号
H20-新興・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 和良(国立感染症研究所 バイオセーフティ管理室)
研究分担者(所属機関)
  • 佐多 徹太郎(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 倉田 毅(富山県衛生研究所)
  • 御手洗 聡(公益財団法人結核予防会結核研究所 抗酸菌レファレンス部)
  • 鹿住 祐子(公益財団法人結核予防会結核研究所 抗酸菌レファレンス部)
  • 藤本 秀士(九州大学大学院医学研究院 保健学部門)
  • 森川 茂(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 安藤 秀二(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 重松 美加(重松 美加)
  • 奈良 武司(順天堂大学医学部熱帯医学・寄生虫病学講座)
  • HELMUT PLENDINGER (ヘルムト プレンディンガー)(国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
バイオセーフティ及びバイオセキュリティ対策を統合し、バランスを取り効果的にバイオリスク(BR)を低減(緩和)・管理するシステムの確立が、テロ対策、新興感染症対策の取り組みとして国際的にも、本邦においても重要課題である。本研究班は、BR管理の重要な因子であるBRの認知、正確な評価、的確な対策の選択を可能にする様な、人材育成と教育訓練のための教材、教育プログラム、評価方法、各種基礎データの検証についての研究を通じて、BR管理の整備と強化を図った。
研究方法
BR管理に関する国内外の情報の収集、整理、関係法規の理解促進、アンケート調査やワークショップ等を通じた正確な知識の普及、シミュレーションによる具体的事例の収集とその成果の分析結果の報告、WEB学習、WEBキャスト、ロールプレイ等の手法の効果検証、習慣となっている手順などの科学的検証実験、学会での成果物の発表、研修での制作教材の使用と改良、バイオリスク評価プログラムの開発、病原体輸送についての基本的知識のまとめ等を行い、国際的研究協力により総合的な人材育成プログラムを設計し、提案した。
結果と考察
国内病原体取扱い施設のBR管理及び教育訓練の現状調査、大学、学会等でのリスクコミュニケーションを加えたバイオリスク管理入門講座と学習効果の受益者調査の反復実施、英国版の専門官及び研究者講習の実施と効果検討、病院関係者に対する結核菌等の取り扱いセミナーの実施、教育実習用の安全キャビネットと模型及び、キャビネット内気流の可視化デモ用装置の作製とそれを用いた研修の実施、病原体輸送用イエローカードの改訂、病原体等の梱包手順資料や病原体輸送者と同乗者の研修プログラムと資料の作成、病原体輸送シミュレーション、WEB学習教材の作成と評価、BR評価ツールのCD化、教育プログラムの実用性の検討等を実施。バイオリスク管理専門官及び研究者用の講習プログラムを検討し、三種類の対象者群と環境別のプログラム提案を行った。
結論
本研究班では、BR管理の強化と担当人材育成の為の教育教材の製作、適切な教育プログラム案や国際基準に基づく教育訓練計画の提案を行った。プログラムの達成目標や最低基準を設定し既存の教育、訓練の機構の中に、共存する形で導入できれば、国内外規則とバイオリスク管理遵守の環境整備、科学者の説明技術の向上等を通じ、安心な社会の構築に貢献できる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201028009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
バイオリスク管理は、病原体や臨床検体などを取り扱う者のセーフティと、社会および実験施設のセキュリティの管理と対応を図る新しい実践的学問である。学問的体系の確立、指導者の育成、教材の作成、科学的考証の過程にある。本研究班は基盤構築に必要な教材作成と人材育成プログラム提案を行い、リスク評価の理論構築と普及に寄与した。特に、病原体輸送者への研修内容の確立、生物学的安全キャビネットの機能・構造の研修材料を作成し、組織内の委員会による研修の在り方の方向性を示し、感染症法で示す教育研修の確立に貢献した。
臨床的観点からの成果
臨床医学上の成果はないが、バイオリスクの管理は検査・診断施設における日常的活動の一部であり、現場に必要な方法論、アルゴリズム、ツールなどを作成し、提供した。一例が病原体輸送時の事故対応に必要なイエローカードであり、高度な実験室の無い大学学部などで利用できる生物学的安全キャビネットの小型模型や、初期導入のフィルター機能理解を促進するためのHEPAフィルターによる空気清浄化デモ機である。これらは、大学や施設のバイオリクス管理委員会へ、内部研修の際に無償貸し出しが可能である。
ガイドライン等の開発
国立感染症研究所の病原体等安全管理規程、病原体輸送の取扱い要領、暴露事故マニュアル等の改訂に協力し、ウェブサイトで公開、提供している。WHO発行の感染性物質の輸送に関するガイダンスを完訳し、2009-2010年版をWHO(http://www.who.int/csr/resources/publications/biosafety/WHO_HSE_EPR_2008_10/en/)を含め広く提供し、参考資料として国内の病原体取扱いおよびバイオリスク管理に関する会議などで使用されている。
その他行政的観点からの成果
感染症法の改正に伴い、感染症対策として重要な位置づけにある診断用の臨床検体や、詳細診断のための病原体の輸送にも混乱が見られた。これに対して、追加課題として取組み、早期の是正に必要な情報を提供した。施設の認可などに必要な、リスク評価の支援ツールを完成し、今後WHOが英語版を採用する予定であり、国内でも活用が期待される。
その他のインパクト
保健師、看護師、検査技師らを対象とした抗酸菌検査実習を多数実施、厚生労働省(特定病原体等の運搬に関する講習会)の運営へ毎年協力、適正な病原体の管理・運搬に関する講義と実習(札幌、仙台)および、保管管理と輸送の手続と梱包(大阪、札幌)などを実施。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
9件
その他論文(和文)
20件
これ以外に報告書、指針等の作成あり
その他論文(英文等)
0件
平成23年度発行のCEN合意文書作成にも協力
学会発表(国内学会)
22件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
31件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
2016-10-17

収支報告書

文献番号
201028009Z