文献情報
文献番号
201027131A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性慢性疼痛の実態と病態の解明に関する研究
課題番号
H22-神経・筋・一般-020
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
牛田 享宏(愛知医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 柴田 政彦(大阪大学大学院 医学系研究科)
- 山下 敏彦(札幌医科大学 医学部)
- 平田 仁(名古屋大学 医学部)
- 河盛 隆造(順天堂大学大学院 スポートロジーセンター)
- 片山 容一(日本大学 医学部)
- 井関 雅子(順天堂大学 医学部)
- 内田 研造(福井大学 医学部)
- 神谷 光広(愛知医科大学 医学部)
- 細井 昌子(九州大学病院 診療内科)
- 西原 真理(愛知医科大学 医学部)
- 河野 達郎(新潟大学大学院 医歯学総合研究科)
- 佐藤 純(名古屋大学 環境医学研究所)
- 中塚 映政(関西医療大学 保健医療学部)
- 橋本 亮太(大阪大学大学院大阪大学・金沢大学・浜松医科大学連合小児発達学研究科附属子どものこころの分子統御機構研究センター)
- 中村 裕之(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
- 安田 哲行(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
12,134,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
それぞれの分野で診療を重ねてきた専門医、研究者を中心に研究班を構成し、まず最初に個々の分野における難治性の痛み疾患について疫学的調査を行う。更に各班員のこれまでの臨床研究を中心とした成果と今回トランスレーショナル研究として主に難治性疼痛の基礎的研究を行ってきた班員の成果をつきあわせ、精神・心理的な要因を含めた様々な角度から分析することで、難治性の慢性疼痛の対策の策定に挑んでいきたい。
研究方法
難治性の痛みの中で、機能的な面からの障害が大きい1.難治性運動器痛 2.糖尿病性神経障害に伴う痛み 3.精神・心理的要素の関与が大きな痛み について、その患者数およびその実態を調査しその治療方法について疫学的研究を行う。またこれらの疾患の病態メカニズムを明らかにするためのトランスレーショナル研究を推進する。
結果と考察
難治性の慢性痛には、身体的な問題(神経系の可塑的な変化、組織の不可逆的変化、廃用性の障害など)、心理的・社会的な問題(事故・労災など金銭への関与、医師・医療者への恨み、家族の問題、うつ的状態など)など様々な側面があり、常に複雑な要因が絡んでいる。その為、これらの実態を解明するためには、①個々の難治性の痛みはどのような特徴をもち、その治療のためにはどのような方法があるのか(無ければどのような研究をする必要があるのか)②包括的にどのくらいの人口がどのような病態(状態)により痛みに苛まされているのか、③難治性慢性痛ははじめから有るわけではないので予防法はないのか?などを整理して研究していく必要があるものと考えられる。
結論
糖尿病に伴う性神経障害の慢性痛については、実態の調査だけでなく、メカニズムに立脚した痛みのコントロール方法の研究および痛みが出現することを予防するための研究なども並行して今後行っていく必要があるものと考えられる。精神心理的要因が大きい多くの患者は、身体化を受診しているという実態があり、その実数を把握することが困難である。対応法について、専門家の間で問題を共有して研究を推進していくと同時に、地域研究などを行っていくことで、実数の把握につとめていく必要があるものと考えられる。トランスレーショナル研究については、今後早急に臨床研究につなげるようなプロジェクトを立ち上げていくことで、少しでも難治性の痛みに苛まされている患者に貢献できるものと考えている。また、より臨床に近いトランスレーショナルリサーチに変えていくことで、将来的に患者に還元できるものにしていく必要があるものと考えている。
公開日・更新日
公開日
2011-06-09
更新日
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