重大な他害行為をおこした精神障害者の適切な処遇及び社会復帰の推進に関する研究

文献情報

文献番号
201027130A
報告書区分
総括
研究課題名
重大な他害行為をおこした精神障害者の適切な処遇及び社会復帰の推進に関する研究
課題番号
H22-精神・一般-019
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
平林 直次(国立精神・神経医療研究センター病院)
研究分担者(所属機関)
  • 田口 寿子(都立松沢病院)
  • 村上 優(国立病院機構 琉球病院)
  • 村田 昌彦(国立病院機構 北陸病院)
  • 吉住 昭(国立病院機構 花巻病院)
  • 大橋 秀行(県立埼玉大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
12,648,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、鑑定入院、通院処遇、入院処遇などの「処遇間の円滑な移行」「関係機関同士の連携と統合」「医療観察制度の流れ全体」に着目し包括的な医療観察法システムのあり方を明確に示すことである。
研究方法
研究初年度である本年度は、6つの分担研究班を組織し下記の研究を行った。
1. 対象行為発生から社会復帰までの経過全般に関する研究
2. 指定入院医療機関の連携に関する研究
3. 医療観察法の医療情報等の効率的な活用による社会復帰促進に関する研究
4. 医療観察法導入後における触法精神障害者への精神保健福祉法による対応に関する研究 
5. 医療観察法から精神保健福祉法による医療への円滑な移行に関する研究
6. 社会復帰促進に資する医療の質の向上に関する研究
結果と考察
医療観察制度の課題は、医療観察法の「制度内課題」と「制度間課題」に分類された。なお、個別の結果については研究報告書に示した。
1.制度内課題
鑑定入院から医療観察法入院への移行時には疾病性の問題、入院から通院への移行時には医療機関間や医療機関と地域関係者間の情報共有および連携の問題が大きいことが示唆され、社会復帰支援を有効に進めるためにはCPA会議やケア会議が重要である。また、(入院)診療支援システムの改訂および通院診療支援システムの提案、診療支援システムを結ぶネットワークの構築、そのバックアップシステムの整備が必要である。
2.制度間課題
医療観察法制度と精神保健福祉法制度は、対象者の動きをみると双方向的であり、医療観察法処遇決定前、処遇中、処遇終了後のすべての時期において密接な関係にある。どちらの制度を適用するかについては、対象行為の重大さ、医療の即応性、精神障害の診断名、治療反応性、地域との連携など様々な要素が考慮され複雑に入り組んだ運用が行われていた。いわば、精神保健福祉制度を基本制度として、その上に医療観察制度という専門制度が積み上げられた2階建て構造となっていることが明らかとなった。
結論
両制度の役割分担を明確にし、各々の制度の個別運用を考えるよりも、精神保健福祉制度を基盤とした専門医療制度として、医療観察制度を運用するのが現実的である。両制度のシームレスな連携や統合を実現する視点が必要である。このような視点に立って、両制度間の円滑かつ適切な移行や、医療・保健・福祉サービスなど、円滑な制度上の連携のあり方を考えるべきである。

公開日・更新日

公開日
2011-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027130Z