感覚器障害戦略研究

文献情報

文献番号
201027111A
報告書区分
総括
研究課題名
感覚器障害戦略研究
課題番号
H19-感覚・戦略-018
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人テクノエイド協会(財団法人テクノエイド協会)
研究分担者(所属機関)
  • 福島 邦博(岡山大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科 講師)
  • 中川 尚志(福岡大学 医学部 教授)
  • 宇佐美 真一(信州大学 医学部 教授)
  • 岩崎 聡(聖隷クリストファー大学 客員教授)
  • 麻生 伸(みみはなのど あそうクリニック 医師)
  • 中澤 操(秋田県立リハビリテーション・精神医療センター 医師)
  • 新谷 朋子(札幌医科大学 医学部 講師)
  • 工藤 典代(千葉県立保健医療大宇 教授)
  • 須藤 正彦(筑波大学 教授)
  • 国末 和也(大阪河崎リハビリテーション大学 講師)
  • 藤本 裕人(国立特別支援教育総合研究所 統括研究員)
  • 藤野 博(東京学芸大学 准教授)
  • 武居 渡(金沢大学 准教授)
  • 城間 将江(国際医療福祉大学 教授)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学 教授)
  • 岩田 和彦(大阪府立精神医療センター 外来診療科副部長)
  • 高橋 吾郎(浜松医科大学 助教)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
聴覚・平衡感覚等の感覚器機能の障害は、その障害を有する者の生活を著しく損なうが、障害の種類、原因によっては、その軽減や重症化の予防、機能の補助・代替等が可能である。そのため、これらの障害の原因となる疾患の病態、発症のメカニズムの解明、発症予防、早期診断及び治療や訓練、リハビリテーション及び機器等による支援など、感覚器障害対策に資する研究を推進する。
研究方法
聴覚障害児(4歳から12歳)を対象に言語発達、適応度、療育の状況、聴覚障害を発見された時期や状況、人工内耳の有無等を把握し相互関係や現状を調べ、解析結果により具体的な介入項目を検討する。
結果と考察
症例対照研究として、聴覚障害児781名(目標充足率97.6%)のエントリー者を対象に、1)聴覚障害児の現状調査、2)日本語言語発達における問題点の分析を行った結果、環境因子(難聴の早期療育、家庭環境、就学までの療育内容、親の教育に関する関与など)と、聴覚障害児の発達に関わる現況(心の理論課題の分析、手話使用の有無に関わる言語発達、補聴器と人工内耳の比較、家族歴、発話明瞭度、語彙分析など)の関連が明らかにされた。全体として、聴覚障害児の言語発達を要素的に概観すると、比較的着実な発達を示しているものの、様々な観点で定型発達児童との差を認めた。特に、聴覚障害児は全体で大きく3つの群(上位群・中間群・下位群)に分かれる傾向が見られた。
結論
就学後の難聴児では、言語の表出が比較的良好なため言語発達の遅れが軽度と思われていたにもかかわらず、実際には日本語の言語理解が不十分である児がみられることがあるが、こうした児が中間群の少なくとも一部を形成している可能性が考えられた。中間群は数的にも大きなグループ(40%)を形成しており、これに対する適切な日本語言語発達評価と言語指導といった対策の重要性が示唆された。さらに学習内容と実際の学力の検討では、対象児の約80%以上が学年対応の学習をしていたが、一方で学年を1年以上下回る内容の学習を受けても習熟が進んでいないと想定される児童も多数見られた。こうした児童の未習熟状態は、以後の学習に大きな影響を与えると考えられる。学年対応を下げる以外の支援策を整備することが急務であり、具体的な支援内容の検討を考える必要がある。

公開日・更新日

公開日
2011-06-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027111Z