精神疾患の病態診断と治療評価のためのイメージングバイオマーカーの開発と臨床応用

文献情報

文献番号
201027090A
報告書区分
総括
研究課題名
精神疾患の病態診断と治療評価のためのイメージングバイオマーカーの開発と臨床応用
課題番号
H22-精神・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 善朗(日本医科大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 須原 哲也(放射線医学総合研究所 分子イメージングセンター)
  • 松浦 雅人(東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科)
  • 加藤 元一郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 伊藤 浩(放射線医学総合研究所 分子イメージングセンター)
  • 舘野 周(日本医科大学)
  • 一宮 哲哉(日本医科大学)
  • 西條 朋行(日本医科大学)
  • 肥田 道彦(日本医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
統合失調症および気分障害を主たる対象として、分子イメージングの技術を用いて、1)病態診断のためのバイオマーカーの開発と臨床的検証、2)治療評価のためのバイオマーカーの開発と臨床的検証を行い、3)イメージングバイオマーカーを用いた病態評価に基づく科学的診断法と新しい治療戦略を開発提案することを目指した。
研究方法
1)ノルエピネフリントランスポーターリガンド(S,S)-[18F]FMeNER-D2を用いた抗うつ薬の占有率の研究、2)ドパミンD2受容体アゴニストリガンド[11C]MNPAを用いた抗精神病薬のD2受容体占有率に関する研究、3)代謝型グルタミン酸受容体リガンド[11C]ABP688の臨床応用にむけた研究、4)新規のドパミントランスポーターリガンド [18F]FEPE2Iの脳内動態の研究、5)[18F]florbetapirによるアミロイド分子イメージングの研究、6)脳機能画像による自己認知と他者評価の神経回路に関する研究、7)島皮質の身体内受容感覚処理と情動主観的認知機能に関する神経心理学的研究を行った。
結果と考察
1)抗うつ薬によるノルエピネフリントランスポーター占有率を明らかにした。2)部分アゴニスト抗精神病薬の高親和性部位におけるD2受容体占有率の測定を行い、親和性の差によらず均一なD2受容体阻害作用を呈することを確認した。3) [11C]ABP688を用いてラット生体内におけるmGluR5の受容体結合能を評価し、フェンサイクリジン投与にてmGluR5-NMDA受容体カップリング機序が存在することを示した。4) [18F]FEPE2Iがドパミントランスポーター結合能を評価するのに適することを示した。5) [18F]florbetapirを用いたアミロイドイメージングによるアルツハイマー病早期診断の可能性を示した。6)自己認知と他者評価に共通する神経回路が存在することを明らかにした。7)右島皮質は,主観的に感じる感情の強さを調整し,感情の正確な識別を補完する機能、身体内部反応を受容し主観的感情へと統合する役割を担っていることを明らかにした。
結論
以上から、各種の新規リガンドを活用することによって、精神疾患の診断や治療評価に有用な新たなイメージングバイオマーカーの開発が可能になると思われた

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027090Z