医療観察法の運用面の改善等に関する研究

文献情報

文献番号
201027080A
報告書区分
総括
研究課題名
医療観察法の運用面の改善等に関する研究
課題番号
H21-こころ・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小山 司(北海道大学 大学院医学研究科精神医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 伊豫 雅臣(千葉大学大学院医学研究院精神医学)
  • 八木 深(東尾張病院)
  • 角野 文彦(滋賀県健康福祉部健康推進課)
  • 松原 三郎(医療法人松原愛育会松原病院)
  • 山本 輝之(明治学院大学法学部)
  • 三澤 孝夫(国立精神・神経センター病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
司法精神医学的観点を踏まえた研究を行い、医療観察法の運用改善に資することが目的である。これまでに、人材育成と確保、通院処遇および司法精神医療に携わる関係諸機関の現状、法学的な検討事項等の問題点が挙げられており、さらに調査分析を行い、具体的改善策の提言を目指した。
研究方法
本研究では以下の分担研究を行った。①司法精神医療に携わる医師の育成と確保に関する研究:一般精神科医の司法精神医学への意識調査、WEB会議、研修医会等。②司法精神医療における行政機関の役割に関する研究:医療観察法の運用に関連した保健所の業務内容に関する実態調査。③医療観察法制度全般に対する医学的視点からの評価研究:医療観察法通院医療の問題点を抽出。④精神保健判定医に必要な知識等の習得方法に関する研究:精神保健判定医等養成研修会のあり方の検討、ケースブックの作成等。⑤医療観察法制度全般に対する法学的視点からの評価研究:国際シンポジウムや比較法的取り組み。⑥司法精神医療に携わる精神保健参与員の育成と確保に関する研究:当初審判や審判前協議と審判期日での実態の調査。
結果と考察
司法精神医療に携わる医師の育成と確保に関しては、一般精神科医師の司法精神医学に対する関心が高まっていないことが明らかとなり、教育的側面から司法精神医学の「専門性」についての構造化を行いモデルとして明示した。行政機関の役割に関する研究では、医療観察法の運用に関連した保健所の業務実態を明らかにした。また、医療観察法制度全般に関する研究により、再入院例(1.4%)および再他害行為(0.25%)は少数であることが明らかとなったが、処遇困難事例検討会では多くの問題点が挙げられた。精神保健判定医に必要な知識等の習得方法に関する研究では、仮想化した事例を用いたケースブックを作成した。医療観察法制度全般に対する法学的研究では、国際シンポジウムや比較法的取り組みを通じて、医療観察法見直しにむけた法学的検討を行った。精神保健参与員の育成と確保に関する研究では、当初審判のカンファレンスの増加および退院許可申立て審判におけるカンファレンスの増加が確認された。
結論
法制度が概ね良好に機能してきた一方で、本質的な課題も浮き彫りになりつつある。司法精神医療に実務的に携わる人材を継続的に育成・確保することや処遇困難事例の問題が課題となっている。

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027080Z