統合失調症における社会生活機能障害の評価・支援-MATRICS-CCB日本語版による認知機能障害の評価と治療計画への応用-

文献情報

文献番号
201027072A
報告書区分
総括
研究課題名
統合失調症における社会生活機能障害の評価・支援-MATRICS-CCB日本語版による認知機能障害の評価と治療計画への応用-
課題番号
H21-こころ・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
曽良 一郎(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 大森 哲郎(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 住吉 太幹(富山大学大 学院医学薬学研究部・認知神経科学)
  • 中込 和幸(独立法人国立精神・神経医療研究センター)
  • 松岡 洋夫(東北大学 大学院医学系研究科精神神経学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
統合失調症の認知機能障害は複数の領域にわたり、就労の可否など患者の社会的予後を大きく左右する。ゆえに統合失調症の認知機能障害の体系的な測定のために国際標準とされている評価法を本邦に取り入れ運用することは、精神医療・保健福祉の観点から重要である。本研究班の目的は、国際標準として体系化された認知機能障害テストMATRICS-CCB日本語版(MATRICS-J)を用いて認知機能改善の効果判定や認知機能障害の改善に伴う脳生理機能の変化を検討し、社会生活機能障害に対する治療への応用に貢献することである。
研究方法
MATRICS-Jにより評価される認知機能と社会生活機能との関連を検討することを目的に、患者群での標準データの集積を行い、MATRICS-Jと機能的転帰との関連について検討した。さらに、認知機能と客観的QOLおよび主観的QOLとの関連について他の臨床要因を含めて検討し、認知リハビリテーションの一技法であるNEAR(Neuropsychological Educational Approach to Cognitive Remediation)の効果の検討をMCCB-Jを用いて行った。また、近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を用いて、MATRICS-Jの下位検査(カテゴリ流暢性課題)を施行中の前頭葉血液量変化をNIRSで計測した。
結果と考察
統合失調症患者において、MATRICS-Jにより評価された認知機能が社会生活機能・機能的転機と関連する可能性が示唆された。また、NIRSを用いて検討を行った結果、MATRICS-Jで評価される認知機能障害とその基盤にある前頭葉血液量変化に障害が認められることを示唆する結果となった。さらに、MATRICS-J下位検査により評価される「注意と情報処理速度」が客観的QOLに影響を与えていることが示された。
結論
統合失調症の認知機能障害の国際標準として体系化されたMATRICS-Jの開発を完了し、MATRICS-Jにより評価される認知機能障害と社会機能および機能的転機との関連を検討した。また、統合失調症の認知機能と生理指標およびQOLとの関連を明らかにし、認知リハビリテーションの効果との関連を検討した。次年度にMATRICS-Jを用いて統合失調症における社会生活機能障害の評価・支援について包括的な検討を行うための知見を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2011-07-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027072Z