成人を対象とした眼検診プログラムの臨床疫学、医療経済学的評価

文献情報

文献番号
201027045A
報告書区分
総括
研究課題名
成人を対象とした眼検診プログラムの臨床疫学、医療経済学的評価
課題番号
H22-感覚・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
山田 昌和(独立行政法人国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター・視覚研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 福原 俊一(京都大学・医療疫学分野・臨床疫学)
  • 平塚 義宗(国立保健医療科学院・経営科学部・眼科学)
  • 村上 晶(順天堂大学医学部・眼科・眼科」学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
15,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦の視覚障害の主要な原因疾患は緑内障、糖尿病網膜症、変性近視、加齢黄斑変性、白内障であり、この5つで全体の3/4を占める。これらの眼疾患はいずれも加齢と関連しており、初期には自覚症状に乏しいため眼検診による早期発見と早期の医療介入が重要な役割を果たすと期待される。本研究の目的は、成人を対象とした眼検診の効果を臨床疫学、医療経済学の視点から評価することである。
研究方法
視覚障害の原因となる疾患の有病率、罹患率を年代別、性別に明らかにするために福島県南会津町、只見町で地域住民を対象としたコホート研究として住民検診を行った。また、視覚障害の疾病負担を評価する研究と眼検診で発見された眼疾患に医療介入を加えた場合の効果を主要疾患別に評価し、総体としての成人眼検診の効果や費用-効用を検討するための研究を行った。
結果と考察
地域住民を対象としたコホート研究では、3283名に眼底検査と前眼部検査による眼検診を実施し、眼瞼下垂の有病率6.90%、翼状片4.20%、網膜静脈分枝閉塞症0.38%、緑内障(疑い例含む)4.10%、閉塞隅角緑内障(疑い例含む)0.21%などの結果を得た。視覚障害の疾病負担を評価する研究に関しては、多施設共同研究のプロトコールを立案した。成人眼検診の効果や費用対効用に関する研究では、糖尿病網膜症と加齢性白内障を対象とした検討を行った。糖尿病網膜症と白内障について、有病率、自然予後、医療加入の種類と効果、医療介入の合併症、スクリーニング方法などについて系統的文献検索を行い、メタ分析によってデータを統合した。得られたデータから白内障に関して成人眼検診の効果をマルコフモデルで評価した。白内障に関する成人眼検診のICERは概ね20万円/QALY以下であり、費用対効用に優れることが示された。感度分析による検診開始年齢と検診間隔の検討では、50歳開始で5年または10年に1回の検診が費用対効用の観点から優れていることが示唆された。
結論
メタ分析とマルコフモデルを用いて成人眼検診の費用対効用を解析する方法論を確立することができた。白内障に関する成人眼検診のICERは概ね20万円/QALY以下と良好な値を示した。今後、モデルが複雑な他の主要眼疾患についても検討を進めて、成人眼検診の費用-効用分析を行っていきたい。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027045Z