養育に困難を抱える保護者を支援することのできる健診評価尺度(保護者自己記入式調査票)の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201027005A
報告書区分
総括
研究課題名
養育に困難を抱える保護者を支援することのできる健診評価尺度(保護者自己記入式調査票)の開発に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
田中 康雄(北海道大学 大学院教育学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 康子 (葛西 康子)(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 金井 優実子(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 内田 雅志(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 久蔵 孝幸(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 伊藤 真理(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 福間 麻紀(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 本村 陽一(産業技術総合研究所サービス工学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健診事業において養育上の困難さを強く抱える保護者を支えるという視点に立つことのできる実用可能な健診ツール「保護者自己記入式調査票」を開発すること。
研究方法
 平成21年度に統計解析の専門家との協議を経て作成した調査票を用いて、協力保健センターの3歳児健診で実際に調査を実施した。22年度は,その調査結果を解析し、その結果を協力したセンターと共有し、実施可能な調査票を作成し、特に質問紙のデータから、養育者のストレスに基づいて、発達面、身体面、育児面における支援ニーズを明確にし、健診後のフォローの必要性を予測するための確率推定モデル、ベイジアンネットワークの作成を行い、改めて調査結果の分析を実施した。
結果と考察
 結果分析から以下の結果を得た。
 保健師のフォローの有無の判断から回答結果を比較したところ、「子育てについての悩みを相談する相手がいない」など21項目で回答傾向に差があり、要フォロー群がより多くの不安を感じていること、またこれらの不安の内容は地域により大きく差があることが示唆された。また結果から、養育者の支援ニーズを予測するための質問項目を探索したところ、「今日の健診で、子どもについて何か言われるのではないかと不安である」、「配偶者が、子どもとよく遊んでいる」、「子どもの成長に不安がある」、「子育てについて悩みを相談する相手がいない」、「子どもが人の話を集中して聞けないことが多い」、「自分の子どもを抱っこしたり、手をつないだりすることが多い」の6つの質問項目が得られた。
 この結果を踏まえて各自治体のフォロー状況を再度見直したところ、養育者が数多くの不安に該当すると回答しているにもかかわらず、フォローがなされていない「見落としケース」が示唆された。またヒアリングを実施し、結果に地域差があることが明らかとなった。
結論
 われわれが開発した、健診ツール「保護者自己記入式調査票」の利点として以下の4点が明らかになった。
①簡便なツールである②養育者の心情把握に役立つ③養育者を支援することで、子どもの発達支援に繋がる④保健師の専門性が生かされる
 健診ツール「保護者自己記入式調査票」は、これまで必要と思われてきたにも関わらず、実践が難しかった「養育者への支援」をはじめて可能とした。
 この健診ツールが、養育者にとってだけでなく、保健師にも有益なもととなり、豊かな養育支援に繋がることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-23
更新日
-

文献情報

文献番号
201027005B
報告書区分
総合
研究課題名
養育に困難を抱える保護者を支援することのできる健診評価尺度(保護者自己記入式調査票)の開発に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
田中 康雄(北海道大学 大学院教育学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 康子 (葛西 康子)(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 金井 優実子(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 内田 雅志(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 久蔵 孝幸(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 伊藤 真理(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 福間 麻紀(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 本村 陽一(産業技術総合研究所サービス工学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 健診事業において養育者のメンタルヘルス支援を前面に打ち出した健診ツール「保護者自己記入式調査票」の開発。
研究方法
 平成20年度は,調査協力を依頼する保健センターを選定後に現地訪問とアンケート調査を行い,健診に関する情報収集と意見交換。
 平成21年度は,統計解析の専門家との協議を経て調査票を作成し,協力保健センターにおける3歳児健診で調査を実施。
 平成22年度は,質問紙のデータから,養育者のストレスに基づいて,発達面,身体面,育児面における支援ニーズを明確にし,健診後のフォローの必要性を予測するための確率推定モデル,ベイジアンネットワークの作成を行い,改めて調査結果の分析を実施。
結果と考察
 保健師のフォローの有無の判断から回答結果を比較し、「子育てについての悩みを相談する相手がいない」など21項目で回答傾向に差があり、要フォロー群がより多くの不安を感じていること、またこれらの不安の内容は地域により大きく差があることを明示。また結果から、養育者の支援ニーズを予測するための質問項目を探索したところ、「今日の健診で、子どもについて何か言われるのではないかと不安である」、「配偶者が、子どもとよく遊んでいる」、「子どもの成長に不安がある」、「子育てについて悩みを相談する相手がいない」、「子どもが人の話を集中して聞けないことが多い」、「自分の子どもを抱っこしたり、手をつないだりすることが多い」の6つの質問項目を明示。そこからフォローの有無を判断するモデルを構築し、「ベイジアンネットワークに基づく子育て支援健診プログラム(Child-Support and Health Examination Program based on Bayesian Networks : CSP)」を作成。
結論
1)保護者自己記入式調査票については,現在の段階で得られた6つの質問項目を中心に構成される「ベイジアンネットワークに基づく子育て支援健診プログラム(CSP)」の完成。
2)養育者のフォローの有無の判断は保健師の意識を外在化したものでもある,ということの明示。この傾向を意識化することで,各自治体の健診場面の質を高めることへの貢献。
3)養育者のメンタルヘルス支援を前面に打ち出したツールであるCSPと,子どもの発達状況を評価するツール(例えば日本語版 M-CHATなど)を相補的に活用することで,子どもの育ちに科学の目を,養育者の思いに慈愛の目を注ぐものという両輪のバランスの取れた健診を実施可能とする。

公開日・更新日

公開日
2011-05-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201027005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
健診ツール「保護者自己記入式調査票」の利点として以下の4点が明らかになった。
①簡便なツールである②養育者の心情把握に役立つ③養育者を支援することで、子どもの発達支援に繋がる④保健師の専門性が生かされる
 健診ツール「保護者自己記入式調査票」は、これまで必要と思われてきたにも関わらず、実践が難しかった「養育者への支援」をはじめて可能とした。
臨床的観点からの成果
養育者のフォローの有無の判断は保健師の意識を外在化したものでもある,ということの明示。この傾向を意識化することで,各自治体の健診場面の質を高めることへの貢献。
ガイドライン等の開発
保護者自己記入式調査票については,現在の段階で得られた6つの質問項目を中心に構成される「ベイジアンネットワークに基づく子育て支援健診プログラム(Child-Support and Health Examination Program based on Bayesian Networks : CSP)の開発。
その他行政的観点からの成果
養育者のメンタルヘルス支援を前面に打ち出したツールであるCSPと,子どもの発達状況を評価するツール(例えば日本語版 M-CHATなど)を相補的に活用することで,子どもの育ちに科学の目を,養育者の思いに慈愛の目を注ぐものという両輪のバランスの取れた健診を実施可能とする。
その他のインパクト
平成22年12月18日に北大において研究報告会と講演を実施。
親子を支える乳幼児健診のために保護者自己記入式調査表開発の研究報告と講演
参加者は医療保健関係者100名

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
赤ちゃん学会での報告「3歳児健診における養育者の支援ニーズ把握を目的とした評価尺度開発に関する研究」
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201027005Z