高齢者における加齢性筋肉減弱現象(サルコペニア)に関する予防対策確立のための包括的研究

文献情報

文献番号
201025020A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者における加齢性筋肉減弱現象(サルコペニア)に関する予防対策確立のための包括的研究
課題番号
H22-長寿・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
原田 敦(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 先端診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 細井 孝之(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 臨床研究・治験推進部)
  • 下方 浩史(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 認知症先進医療開発予防開発部)
  • 橋本 有弘(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 再生再建医学研究部)
  • 秋下 雅弘(東京大学大学院医学系研究科・加齢医学専攻老年病学講座)
  • 重本 和宏(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター)
  • 金 憲経(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター)
  • 鈴木 隆雄(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 研究所)
  • 島田 裕之(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 在宅医療・自立支援開発部)
  • 神崎 恒一(杏林大学 医学部高齢医学)
  • 金 信敬(健康科学大学 体育学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
26,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
加齢性筋肉減弱現象(サルコペニア、以下SPと略)は高齢者に生活機能低下や虚弱をもたらし重要と認識されていたが科学的対策確立は我が国で皆無だったのでSPに関する基礎、疫学、臨床、予防の多領域研究を行う。
研究方法
基礎では骨格筋幹細胞による筋再生メカニズム解明のためヒト筋幹細胞不死化技術を適用し、診断法開発を重症筋無力症動物モデルで試みた。疫学では地域住民で筋量加齢変化調査及び診断法開発を行い、施設高齢者用近赤外分光法(NIRS)の信頼性を検討した。臨床では大腿骨近位部骨折(HF)患者をDXAによる補正四肢筋量(SMI)で対照と比較し、超音波画像装置有用性を検討し、液性因子として筋アンドロゲン受容体タンパクの運動による発現をマウス、レプチンとDXAによるSMIの関連を患者で検討し、SPと転倒との関係及びDXAと生体電気インピーダンス(BIA)の相関を患者で検討した。予防介入RCTでは運動と栄養処方で教室186名に週2回筋運動、毎日茶カテキン540mg飲む指導を3カ月実施、太極拳介入で地域住民60名に運動3年実施計画を実施した。
結果と考察
結果と考察】基礎では後期高齢者由来の筋幹細胞不死化に成功し不死化筋細胞クローンを複数分離樹立した。補体欠損マウスにMuSK蛋白を免疫し筋萎縮発症に成功し、神経筋シナプス筋側限局のMuSKが筋/シナプス機能維持に重要な役割を果たしていた。疫学では40歳以上2,419名のDXAによるSMI判定で男25%女24%がSPとされ、歩速度1m/s未満か握力が男25kg未満、女20kg未満、加えてBMI 18.5kg/m2未満か下腿囲30cm未満で判定した簡易基準で65歳以上の5%がSPだった。NIRSは再現性高く身長体重含めた重回帰モデルで筋量の83%が説明された。臨床ではSPはHF357名の47%と対照2155名の32%より高く骨密度と独立し下肢筋量のみがHFと関連していた。超小型携帯型超音波装置は筋肉に不適でリニア型プローブ超音波装置が有用とされた。筋アンドロゲン受容体タンパクレベル発現は運動で増加、筋C2C12細胞電気刺激による周期細胞収縮で増加、AMPKとユビキチン/プロテオソームやMEK/ERK経路で制御され、レプチンはSMIと負相関を認めた。DXAとBIAによる筋量はr>0.9の相関を示した。予防介入では運動のみならずカテキンも移動能力が改善し両者とも有効と示唆され、太極拳的介入では身体機能、QOL、SP指標などを測定し介入を実施した。
結論
SPに関する科学的対策確立の多領域研究を行った。

公開日・更新日

公開日
2011-09-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201025020Z