動作解析装置を用いた歩行障害・ADL障害の解明に関する研究

文献情報

文献番号
201025007A
報告書区分
総括
研究課題名
動作解析装置を用いた歩行障害・ADL障害の解明に関する研究
課題番号
H20-長寿・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松本 秀男(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 名倉武雄(慶應義塾大学 医学部)
  • 赤居正美(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 大森豪(新潟大学超越研究機構)
  • 菅野伸彦(大阪大学大学院医学研究科)
  • 津村弘(大分大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
16,350,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
変形性関節症は高齢者が要支援となる疾患の第1位を占め、高齢化社会を迎える日本の医療においてその適切な診断・治療に対するニーズは大きい。本研究では変形性膝関節症を対象に、動作計測を行い日常生活動作における力学的負荷と臨床症状の関連を検証し、疾患の病態を反映する新しい評価指標を提唱することを目的とした。
研究方法
3次元動作解析装置を用いてこれまでの2年間で統一のプロトコールにより計測行った症例について分析を行う。具体的には、動作解析データの各パラメータと身体的特徴・臨床症状・X線による重症度の関連を検証する。また、外来において簡易に使用可能な計測システムを考案するため、デジタルビデオと3次元動作解析装置によるデータの比較を行い、デジタルビデオによる計測の妥当性を検証した。
結果と考察
各施設における研究成果より、変形性膝関節症の歩行の特徴として、歩行時屈曲・伸展角度の減少、内転角度の増加、回旋変位量の減少、立脚初期の内反スラスト量の増加が認められることが明らかとなった。これらの因子のうち、臨床重症度、下肢アライメント、臨床症状(疼痛)と最も相関を認めたのは、膝内反モーメントおよび内反スラスト量であった。特に内反スラスト量は、ビデオによる簡易計測が可能であり、臨床におけるあらたな評価基準として提唱できると考えられた
結論
変形性膝関節症を対象に、動作計測を行い日常生活動作における力学的負荷と臨床症状の関連を検証した。動作解析データの各パラメータと身体的特徴・臨床症状・X線による重症度の関連を多元的に統計解析した。その結果、歩行時の膝内反モーメントは重症度、FTAおよび臨床スコアいずれとも高い相関を認めた。膝内反モーメントは、わが国の患者においても変形性膝関節症の病態を最も反映する力学的負荷の指標となると考えられた。さらに本年度の研究により、膝内反スラスト量は膝内反モーメントと相関が高く、かつ簡易に計測が可能であった。疾患の新たな評価基準として膝内反スラスト量の計測が提案された。

公開日・更新日

公開日
2011-09-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-01
更新日
-

文献情報

文献番号
201025007B
報告書区分
総合
研究課題名
動作解析装置を用いた歩行障害・ADL障害の解明に関する研究
課題番号
H20-長寿・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松本 秀男(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 名倉 武雄(慶應義塾大学 医学部)
  • 赤居 正美(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 大森 豪(新潟大学 超越研究機構)
  • 菅野 伸彦(大阪大学大学院 医学研究科)
  • 津村 弘(大分大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
変形性関節症は高齢者が要支援となる疾患の第1位を占め、高齢化社会を迎える日本の医療においてその適切な診断・治療に対するニーズは大きい。本研究では変形性膝関節症を対象に、動作計測を行い日常生活動作における力学的負荷と臨床症状の関連を検証し、疾患の病態を反映する新しい評価指標を提唱することを目的とした。
研究方法
3次元動作解析装置を用いて研究期間においてで統一のプロトコールにより計測行った症例について分析を行う。具体的には、動作解析データの各パラメータと身体的特徴・臨床症状・X線による重症度の関連を検証する。また、外来において簡易に使用可能な計測システムを考案するため、デジタルビデオと3次元動作解析装置によるデータの比較を行い、デジタルビデオによる計測の妥当性を検証した。
結果と考察
各施設における研究成果より、変形性膝関節症の歩行の特徴として、歩行時屈曲・伸展角度の減少、内転角度の増加、回旋変位量の減少、立脚初期の内反スラスト量の増加が認められることが明らかとなった。これらの因子のうち、臨床重症度、下肢アライメント、臨床症状(疼痛)と最も相関を認めたのは、膝内反モーメントおよび内反スラスト量であった。特に内反スラスト量は、ビデオによる簡易計測が可能であり、臨床におけるあらたな評価基準として提唱できると考えられた
結論
変形性膝関節症を対象に、動作計測を行い日常生活動作における力学的負荷と臨床症状の関連を検証した。動作解析データの各パラメータと身体的特徴・臨床症状・X線による重症度の関連を多元的に統計解析した。その結果、歩行時の膝内反モーメントは重症度、FTAおよび臨床スコアいずれとも高い相関を認めた。膝内反モーメントは、わが国の患者においても変形性膝関節症の病態を最も反映する力学的負荷の指標となると考えられた。さらに本年度の研究により、膝内反スラスト量は膝内反モーメントと相関が高く、かつ簡易に計測が可能であった。疾患の新たな評価基準として膝内反スラスト量の計測が提案された。

公開日・更新日

公開日
2011-09-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201025007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
変形性膝関節症における日常生活動作中の関節負荷・関節動態について明らかにした。特にわが国においても、歩行時の内反モーメント・内反スラストが変形性膝関節症の臨床症状・重症度を反映することが明らかとなった。またビデオカメラによる膝関節動態の簡易的評価手法を提案し、その有用性を示した。
臨床的観点からの成果
従来X線による臨床評価が主であったが、本研究により動作解析装置およびビデオカメラにより、疾患の臨床評価が可能であることが明らかとなった。特にビデオカメラによる膝関節動態評価は、高額な機器を必要とせず、外来等日常診療においても施行可能である。このような非侵襲的かつ簡易な臨床評価方法は、臨床の現場において画期的な手法であると考えられる。
ガイドライン等の開発
300例を超える変形性膝関節症患者の歩行解析により、その関節負荷・関節動態に関するデータベースを構築した。これまで本邦においてこのような規模のサンプル数を有する、詳細な歩行解析データベースは存在しない。今後このデータベースをコントロールそして、様々な介入研究を行うことで治療に関するガイドライン作成に着手できる。
その他行政的観点からの成果
変形性膝関節症は高齢者が要支援となる主な原因疾患であり、今後も患者数が増加することが予想される。疾患の病態を反映した指標を提示することで、より客観的に介護・支援度等の判定が可能となる。また簡易な評価手法を開発したことで、特殊な設備を有さない保健所などでも疾患の評価が可能となる。
その他のインパクト
本研究班の成果については、長寿科学総合研究事業PR用パンフレットに採用された。研究代表者・松本秀男が変形性膝関節症に対する運動療法について誌面上で解説をした。(2010年6月25日 読売新聞 朝刊16面 医療ルネッサンス No4867 シリーズ 痛み)

発表件数

原著論文(和文)
17件
臨床バイオメカニクス雑誌、日本整形外科学会誌、運動療法と物理療法、Bone など
原著論文(英文等)
2件
Journal of Arthroplasty, Journal of Orthopedic Science
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
19件
日本臨床バイオメカニクス学会、日本膝関節学会、日本整形外科学会、日本運動療法学会など
学会発表(国際学会等)
11件
Orthopedic Research Society, AOCPRM etc
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
津田晃佑、柿本明博、菅野伸彦et al
変形性膝関節症患者の歩行中に膝関節にかかある力学的負荷と臨床症状および重症度との関連について
臨床バイオメカニクス , 31 , 409-416  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201025007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,635,000円
(2)補助金確定額
1,635,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-06-20
更新日
-