膝痛・腰痛・骨折に関する高齢者介護予防のための地域代表性を有する大規模住民コホート追跡研究

文献情報

文献番号
201025005A
報告書区分
総括
研究課題名
膝痛・腰痛・骨折に関する高齢者介護予防のための地域代表性を有する大規模住民コホート追跡研究
課題番号
H20-長寿・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
吉村 典子(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター関節疾患総合研究講座)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 耕三(東京大学 医学部 整形外科)
  • 阿久根 徹(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター臨床運動器医学講座)
  • 藤原 佐枝子(放射線影響研究所 臨床研究部)
  • 清水 容子(東京都健康長寿医療センター研究所 )
  • 吉田 英世(東京都健康長寿医療センター研究所 )
  • 大森 豪(新潟大学 超越研究機構)
  • 須藤 啓広(三重大学 医学部 整形外科)
  • 西脇 祐司(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学)
  • 吉田 宗人(和歌山県立医科大学 医学部 整形外科)
  • 下方 浩史(国立長寿医療センター研究所 疫学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
67,260,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域代表性を持つ一般住民を対象とした運動器疾患住民コホートを構築し共通の尺度を使って追跡調査を行うことにより、運動器障害とその主要原因疾患に関する日本人の疫学指標と、危険因子を解明すること、さらにこれら運動器疾患が要介護移行や生活機能低下に及ぼす影響を明らかにすることにより、介護予防対策の推進により健康寿命を延伸し、膝痛・腰痛・骨折などの運動器障害による要介護高齢者を低減させることを目的とする。
研究方法
平成20-21年の2年間で地域代表性を持つ全国8地域からなる世界最大規模の統合コホート(12,000人)とその結果の検証コホート(2,500人)を構築した。平成22年度には統合コホートの全てで、共通検診項目として、WOMAC(膝痛・下肢機能)、Oswestry (腰痛・体幹下肢機能)、生活の質(QOL)の指標であるEQ5D・SF8、日常生活活動度(ADL)、要介護度調査を含む統一尺度を導入した第1回追跡調査が進行中であり、統合コホート追跡調査データベースをの構築が開始された。追跡調査データベースから、本年度中に要介護認定の有無および要介護認定の時期を特定できた和歌山県、秋田県、群馬県在住の65歳以上の住民2,764人 (男性 1,175人、女性1,589人)を対象として、要介護移行率を推定した。
結果と考察
65歳以上の要介護移行率は総数で3.59/100人年であることがわかった。要要介護移行率は女性に有意に高く、年齢とともに有意に上昇していることが明らかになった。ベースライン調査で運動機能検査を実施しえた和歌山コホートの65歳以上の参加者967人を対象として、要介護移行の予測要因を検討したところ、握力1kgが高いほど要介護移行へのリスク8%低下し、歩行秒数が1秒遅くなると要介護移行へのリスクが10%増加することがわかった。分担研究からは、膝OAとメタボリックシンドロームとの関連、要介護予防スクリーニング指標としての開眼片足立ち時間測定の有用性、生活習慣病と骨折リスク、膝痛・腰痛と新規要介護認定との関連、地域在住高齢者における腰痛・膝痛・要介護状態と健康関連QOLとの関連、変形性膝関節症の危険因子および大腿四頭筋力の関連、高齢者の転倒・骨折に関与する危険因子としての運動機能検査の検討、脊柱後彎変形と将来のADLとの関連)、地域住民コホートにおける頚髄圧迫と腰部脊柱管狭窄症の有病率の推定、一般住民における加齢に伴う骨関節疾患の実態と要因について新しい知見を得た。
結論
わが国の高齢者における要介護移行率を推定し、要介護予防のために運動機能検査が有効であることを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2011-08-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201025005Z