定量的CTを用いた有限要素法による骨強度診断法の実用化に関する研究

文献情報

文献番号
201025004A
報告書区分
総括
研究課題名
定量的CTを用いた有限要素法による骨強度診断法の実用化に関する研究
課題番号
H20-長寿・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大西 五三男(国際医療福祉大学 保健医療学部)
研究分担者(所属機関)
  • 杉本 利嗣(島根大学医学部内科学講座 内科学第一)
  • 時村 文秋(東京都健康長寿医療センター 整形外科)
  • 林 直人(東京大学医学部附属病院コンピュータ画像診断学/予防医学講座)
  • 遠藤 直人(新潟大学大学院 整形外科学・骨軟骨代謝)
  • 金 憲経(東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 萩野 浩(鳥取大学 医学部)
  • 曽根 照喜(川崎医科大学 放射線医学、核医学)
  • 井樋 栄二(東北大学大学院 医学系研究科 医科学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,980,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
定量的CTを用いた有限要素法(以下CT/FEM)が臨床で有用であることを検証する。
研究方法
主任研究者および各研究分担者の医療機関の新規・継続受診患者のCT/FEMは大腿骨近位部、第2腰椎を対象とする。
1横断研究
当該部位のCTデータからCT/FEMによる骨強度値を計算し一般成人の年齢別・性別の強度値の基準データを取得する。
2ケースコントロール研究
既存・新鮮脊椎骨折を有する患者群、大腿骨頚部新鮮骨折患者群および非骨折患者・受診者のCT/FEMによる骨強度値から骨折発生リスクを予測する。
3前向きコホート研究:骨折発生リスク予測
新規または継続受診中の骨量減少または、原発性骨粗鬆症と診断された患者においてCT/FEMを用い骨折発生リスクを予測していく。
4治療効果判定における有用性の比較検討
新規または継続受診し、新規にビスフォスフォネート、SERMで治療を開始する原発性骨粗鬆症患者に対し、CT/FEMの治療効果判定における有用性を比較検討する。
結果と考察
臨床研究
1. a. 横断研究(一般成人の骨強度基準値の取得)
2008-09年に東大病院検診部にて検診を受け、除外基準に該当しない40歳以上の男性552名(平均55.0歳 40歳-87歳)、女性273名(平均59.0歳 40歳-83歳)を対象とした大腿骨近位部の荷重・拘束条件を立位条件と転倒条件の2条件とし、非線形解析を行った。2009年検診を受け、除外基準に該当しない40歳以上の男性 217名(平均57.0歳 40歳-89歳) と女性120名(平均57.0歳 40歳-75歳)を対象とした。第2腰椎の荷重・拘束条件を単軸圧縮とし、非線形解析を行った。大腿骨近位部の骨強度値 女性が男性に対し各年齢帯の平均値において、有意に骨強度が低かった。
女性の骨強度値は、男性よりも同一年齢帯において有意に低かった。
大腿骨近位部の骨折リスク「女性、高年齢、低体重」と、今回の骨強度の解析でえられた、「女性が男性に対し有意に骨強度が低く、年齢が上がるにつれ骨強度の低下があり、また、低体重で骨強度が低い傾向がある」という結果は、矛盾しない。これらより、骨折リスクとCT/FEMによる骨強度が強く関連性があると考察される。
結論
CT/FEMは、通常の臨床用CTを設備している病院・診療所であれば新たにCTを購入する必要はない。また汎用のコンピュータを使用するため経済負担少なく導入できる。CT/FEMは、薬剤効果判定にも適した方法であり、臨床応用において有用であった。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-

文献情報

文献番号
201025004B
報告書区分
総合
研究課題名
定量的CTを用いた有限要素法による骨強度診断法の実用化に関する研究
課題番号
H20-長寿・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大西 五三男(国際医療福祉大学 保健医療学部)
研究分担者(所属機関)
  • 杉本 利嗣(島根大学医学部内科学講座 内科学第一)
  • 林 直人(東京大学医学部附属病院 コンピュータ画像診断学/予防医学講座)
  • 伊藤 昌子(長崎大学医学部・歯学部附属病院)
  • 遠藤 直人(新潟大学大学院 整形外科学、骨軟骨代謝)
  • 金 憲経(東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 萩野 浩(鳥取大学 医学部)
  • 曽根 照喜(川崎医科大学 放射線医学、核医学)
  • 時村 文秋(東京都健康長寿医療センター 整形外科)
  • 井樋 栄二(東北大学大学院 医学系研究科 医科学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
定量的CTを用いた有限要素法(以下CT/FEM)が臨床で有用であることを検証する。
研究方法
主任研究者および各研究分担者の医療機関の新規・継続受診患者のCT/FEMは大腿骨近位部、第2腰椎を対象とする。
1横断研究
当該部位のCTデータからCT/FEMによる骨強度値を計算し一般成人の年齢別・性別の強度値の基準データを取得する。
2ケースコントロール研究
既存・新鮮脊椎骨折を有する患者群、大腿骨頚部新鮮骨折患者群および非骨折患者・受診者のCT/FEMによる骨強度値から骨折発生リスクを予測する。
3前向きコホート研究:骨折発生リスク予測
新規または継続受診中の骨量減少または、原発性骨粗鬆症と診断された患者においてCT/FEMを用い骨折発生リスクを予測していく。
4治療効果判定における有用性の比較検討
新規または継続受診し、新規にビスフォスフォネート、SERMで治療を開始する原発性骨粗鬆症患者に対し、CT/FEMの治療効果判定における有用性を比較検討する。
結果と考察
臨床研究
1. a. 横断研究(一般成人の骨強度基準値の取得)
2008-09年に東大病院検診部にて検診を受け、除外基準に該当しない40歳以上の男性552名(平均55.0歳 40歳-87歳)、女性273名(平均59.0歳 40歳-83歳)を対象とした大腿骨近位部の荷重・拘束条件を立位条件と転倒条件の2条件とし、非線形解析を行った。2009年検診を受け、除外基準に該当しない40歳以上の男性 217名(平均57.0歳 40歳-89歳) と女性120名(平均57.0歳 40歳-75歳)を対象とした。第2腰椎の荷重・拘束条件を単軸圧縮とし、非線形解析を行った。大腿骨近位部の骨強度値 女性が男性に対し各年齢帯の平均値において、有意に骨強度が低かった。
女性の骨強度値は、男性よりも同一年齢帯において有意に低かった。
大腿骨近位部の骨折リスク「女性、高年齢、低体重」と、今回の骨強度の解析でえられた、「女性が男性に対し有意に骨強度が低く、年齢が上がるにつれ骨強度の低下があり、また、低体重で骨強度が低い傾向がある」という結果は、矛盾しない。これらより、骨折リスクとCT/FEMによる骨強度が強く関連性があると考察される。また、男女とも、この骨強度の解析方法においては、身長による骨強度へ関与は小さかった。
結論
CT/FEMは、通常の臨床用CTを設備している病院・診療所であれば新たにCTを購入する必要はない。また汎用のコンピュータを使用するため経済負担少なく導入できる。CT/FEMは、薬剤効果判定にも適した方法であり、臨床応用で有用であった。

公開日・更新日

公開日
2011-09-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201025004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
大腿骨近位部の骨強度値は女性は、男性よりも同一年齢帯において有意に低かった。骨折リスクとCT/FEMによる骨強度が強く関連性があると考察される。男女とも、この骨強度の解析方法においては、身長による骨強度へ関与は小く、年齢に大きく依存している。第2腰椎椎体強度の年間減少率は、女性では男性の約3倍であった。第2腰椎の骨強度値をYAM値(%)で表すと、男性では75-79歳群の平均値は77%、女性では70-79歳群で47%であり、骨強度は骨密度と比べて、男女ともに減少率が大きい傾向があった。
臨床的観点からの成果
CT/FEMは、通常の臨床用CTを設備している病院・診療所であれば新たにCTを購入する必要はない。また汎用のコンピュータを使用するため経済負担少なく導入できる。薬剤投与をされていても、手指骨をもちいたDIP法は薬物効果がはっきりとわからない。DXA法も脊椎の変形や測定の角度による差異により効果判定が困難である。CT/FEMは、薬剤効果判定にも適した方法である。
ガイドライン等の開発
解析手法のプロトコールを作成し、今回、共同研究者ではなかった施設に対しても、統一した手法において、解析を行ってもらうよう配布を行っている。
その他行政的観点からの成果
先進医療によって行われている施設が増加した。
その他のインパクト
BS朝日において、「隠れ骨粗鬆症」といことでCT/FEMによる骨強度検査が取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
5件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
9件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
2017-10-03

収支報告書

文献番号
201025004Z