文献情報
文献番号
201024265A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性角化不全症の効果的診断方法の確立と治療ガイドラインの作成に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-210
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小島 勢二(名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学)
研究分担者(所属機関)
- 高橋 義行(名古屋大学医学部附属病院 小児科)
- 伊藤 悦朗(弘前大学医学部 小児科学)
- 小原 明(東邦大学医学部附属大森病院 輸血部)
- 伊藤 雅文(名古屋第一赤十字病院 病理部)
- 山口 博樹(日本医科大学付属病院 血液内科)
- 長谷川 好規(名古屋大学大学院医学系研究科 呼吸器内科学)
- 秋山 真志(名古屋大学大学院医学系研究科 皮膚病態学)
- 中尾 眞二(金沢大学医薬保健研究域医学系 細胞移植学)
- 谷ヶ崎 ヒロシ(日本大学医学部 小児科学)
- 大賀 正一(九州大学大学院医学研究院 周産期・小児医療学)
- 矢部 普正(東海大学医学部基盤診療学系 再生医療科学)
- 金兼 弘和(富山大学附属病院 小児血液・免疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
先天性角化不全症(DKC)は、皮膚の網状色素沈着、爪の委縮、口腔内の粘膜白斑症をともなう骨髄不全症で、10歳前後までに80%以上の患者にこれらの 身体所見を付随した再生不良性貧血(再不貧)を発症する。これまでに、DKCに特徴的な身体所見がみられず、特発性再不貧と考えられていた症例から、DKC の原因遺伝子変異が検出されている。今回、小児再不貧患者を対象にDKC関連遺伝子の変異の有無、さらに末梢血リンパ球のテロメア長の測定がDKCのスクリーニングに有用で あるかを検討した。 重症DKCについては、現時点では造血幹細胞移植が唯一の治療法である。同時に骨髄非破壊的前処置法の導入が本症の治療成績の向上に寄与するかを検討した。
研究方法
48人の特発性再生不良性貧血患児、10人のDKC患者の末梢血リンパ球のテロメア長をFlow-FISH法で測定した。また、DKC患児について、7腫のDKC関連遺伝子(DKC1,TERC,TERT,NHP2,NOP10,TINF2,TCAB1)の変異の有無を検討した。4例のDKC患児について骨髄非破壊的前処置法を用いて同種骨髄移植した。
結果と考察
テロメア長を測定したDKC患者では全例で健常人の5%未満と著明な短縮を認めた。特発性再生不良性貧血患児の1人に著明なテロメア長の短縮がみられ、TINF2遺伝子の変異が確認された。17例について遺伝子検索をおこなったところ、DKC1の変異を2例、TERTの変異を3例、TERCの変異を2例、TINF2の変異を4例に認めた。身体的特徴はみられないがスクリーニング検査でテロメア長が短縮していた患児からTINF2変異が検出された。フルダラビンを含む骨髄非破壊的前処置法で移植された4人は、全例で重症な合併症もなく血液学的回復がみられ生存中である。
結論
リンパ球テロメア長のスクリーニングは、特徴的な身体所見がみられず特発性再不貧と考えられていた患児から本症を発見するに有用な方法である。骨髄非破壊的前処置の導入が本症の移植成績を向上させるに有望である。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
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