文献情報
文献番号
201024258A
報告書区分
総括
研究課題名
MODY1-6の病態調査と識別的診断基準の策定
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-203
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
武田 純(岐阜大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 堀川 幸男(岐阜大学 医学部附属病院)
- 山本 眞由美(岐阜大学 保健管理センター)
- 山縣 和也(熊本大学 大学院医学研究科)
- 今川 彰久(大阪大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
MODY1-6は稀有な遺伝性難病であり、若年糖尿病、腎障害、生殖器異常、脂質異常、発癌等の多様な病態を呈する。病型判定が困難な理由として、核家族と少子化で遺伝様式が不明確、2型糖尿病の低年齢化で鑑別が困難、de novo変異、多様な表現型、CNV多型の存在、DNA解析が唯一の診断法、検査費用と受け入れ施設の関係で全遺伝子解析が困難、などが挙げられる。本研究では、遺伝子診断と特定されたMODY遺伝子に基づいた臨床的検討により、DNA精査の必要性を指示する識別的基準の設定を目指す。
研究方法
DNA検査依頼により308家系の発端者が全国から集積されたが、今までは高額な検査費用の関係で依頼遺伝子のみを検索してきた。従って、他のMODYを見逃した可能性があるので、全遺伝子スクリーニングを行うとともに、de novo変異やCNV多型の可能性を検証した。同時に、全国の糖尿病専門医と小児内分泌医を対象としたアンケート調査を行い、全国レベルでの各MODY型の頻度を推定した。一方、提供された未知MODY家系(3世代を満たさない)を用いて、常染色体優性遺伝モデルとしてSNP連鎖解析により、新規MODY遺伝子座をゲノム上に求めた。
結果と考察
MODY1-6調査により病型頻度を算出したが(MODY1: 0.3%, MODY2: 7%, MODY3: 18%, MODY4: 0.0%, MODY5: 2%, MODY6: 0.0%)、背景には全MODY遺伝子の再シーケンスの結果、検索依頼された遺伝子以外で原因変異が多く認められたことがある。また、変異を有する親の未発症家系や両親に異常を認めないde novo変異も多く認めたので、メンデル遺伝様式による3世代罹患と若年発症のMODY基準は不充分であり、弧発例も考慮した新たな基準設定が必要と考えられた。更に、MODY3とMODY5において、日本人でもCMV多型が存在することが判明したので、MODY診断はエクソン解析だけでは不十分であることも明らかになった。
2世代家系群を中心にSNP連鎖解析を実施した結果、日本人の新たなMODY遺伝子座を第14番染色体上にマップすることに成功した。
2世代家系群を中心にSNP連鎖解析を実施した結果、日本人の新たなMODY遺伝子座を第14番染色体上にマップすることに成功した。
結論
MODY1-6の確定診断は治療選択と予後判定に影響するが、亜型診断は適切に実施されていない実態が明らかになり、DNA精査を促す識別的な基準設定の必要性が確認された。新規の原因遺伝子の情報は、臨床的な鑑別に更に有用な情報をもたらすと期待される。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
-