新規診断マーカーCTPを用いた難治性内耳疾患の多施設検討

文献情報

文献番号
201024245A
報告書区分
総括
研究課題名
新規診断マーカーCTPを用いた難治性内耳疾患の多施設検討
課題番号
H22-難治・一般-190
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
池園 哲郎(日本医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
研究分担者(所属機関)
  • 宇佐美真一(信州大学医学部・耳鼻咽喉科学教室)
  • 小川郁(慶應義塾大学耳鼻咽喉科)
  • 小川洋(福島県立医科大学耳鼻咽喉科学講座)
  • 小林俊光(東北大学大学院医学系研究科・耳鼻咽喉頭頸部外科)
  • 鈴木衞(東京医科大学医学部・耳鼻咽喉科学)
  • 高橋克昌(群馬大学医学部耳鼻咽喉科学)
  • 武田憲昭(徳島大学・耳鼻咽喉科学)
  • 東野哲也(宮崎大学医学部・感覚器運動医学講座)
  • 内藤泰(神戸市立医療センター中央市民病院耳鼻咽喉科)
  • 萩森伸一(大阪医科大学感覚器機能形態医学)
  • 松田秀樹(横浜市立大学大学院・頭頸部生態機能病態医科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 目的を4つにまとめた。
1.診断基準改定 2.診療ガイドライン作成 3.検査精度の評価と精度向上 4.基礎研究

1,2.外リンパ瘻の診断基準は昭和58年に厚生省特定研究急性高度難聴班によって初版が作成された。外リンパ特異的タンパクCTPを診断基準に盛り込む改訂について検討した。外リンパ瘻診療ガイドラインも作成する。
3.臨床検査には厳密な精度管理が求められる。CTP検出検査の精度についてさらに検討を加えた。
4.動物実験から、多彩な臨床所見を呈する外リンパ瘻の病態を明らかにする。質量分析により、CTPの検討を行う。
研究方法
1.難聴班(小川郁班長)と共同で外リンパ瘻の診断基準の改訂案を作成する。
2.CTP陽性例(生化学的確実例)と疑い例の検討を行い、診療ガイドラインを作成する。
3.我々は、臨床検査に必至な精度管理(hrCTPタンパクを内部標準に使用、最適なSN比をもつ結果画像を選定、第3者が結果判定)を行っている。今回さらにその精度について検討を加えた。
4.モデル動物を下記3つの方法で作製しその機能と形態を検討する。1)正円窓開窓、2) アブミ骨摘出による卵円開窓、3) 正円窓から4μlの外リンパ液吸引
結果と考察
1. 2012年改訂特発性外リンパ瘻診断基準(案)を作成した。
2. 特発性、外傷性、内耳奇形、外科的外リンパ瘻などの各カテゴリーの臨床例を検討した。ガイドライン作成の基礎資料として「外リンパ瘻FAQ Frequently Asked Questions」を作成した。
3. CTP発現特異性、蛋白安定性、ヒト外リンパ検出感度、臨床検体の検出感度、非特異バンドの原因を検討した。現在のCTP検出法の欠点を明らかにした。
4.3種の動物モデルを作製中である。
結論
1.今後検討を加えて最終改訂版を作成する。その他の疾患カテゴリーの外リンパ瘻(外傷、炎症性など)ついては、別途、診断基準の作成を検討する。
2.今まで曖昧とした疾患と考えられてきた外リンパ瘻の診断基準を整備し、各カテゴリーのガイドラインを作成することで、CTP検出検査を受けた症例の治療効果の向上を最終的な目標として、研究に取り組んで行きたい。 
3. CTP検出法は、ほぼ臨床実用化レベルに達しており、正確な診断により外科的治療の適応の判断に寄与することが期待されている。
4.動物を用いた基礎研究では、種差を考慮する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024245Z