先天性両側小耳症・外耳道閉鎖疾患に対する、良い耳介形成・外耳道・鼓膜・鼓室形成術の開発と両耳聴実現のためのチーム医療

文献情報

文献番号
201024243A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性両側小耳症・外耳道閉鎖疾患に対する、良い耳介形成・外耳道・鼓膜・鼓室形成術の開発と両耳聴実現のためのチーム医療
課題番号
H22-難治・一般-188
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
加我 君孝(東京医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 朝戸 裕貴(獨協医科大学 医学部)
  • 竹腰 英樹(東京医療センター 臨床研究センター)
  • 松永 達雄(東京医療センター 臨床研究センター)
  • 坂田 英明(目白大学 保健医療学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
われわれは本疾患に対し肋軟骨と耳介が十分発達する9-10歳時に形成外科による肋軟骨を用いた耳介形成を行い、約半年過ぎてから耳鼻咽喉科・形成外科合同で一期的に外耳道形成術・鼓室形成術、および耳介挙上術を施行しており、良好な成績をあげ、大半の例では術前よりほとんどの症例で聴力が改善している。しかし、聴力未改善や術後大幅に改善しながら経年変化で低下する例もあり、その原因を究明する必要がある。今回われわれは、術後聴力改善に乏しい13症例に側頭骨HRCTを施行し、その原因について検討したので報告する。
研究方法
対象は、1995年から2006年までの本疾患症例53耳のうち、外耳道形成術・鼓室形成術を施行し、現在に至るまでフォローアップし、聴力改善に乏しかった20耳(17症例)中、HRCTを施行した15耳(13症例)である。術前評価としてJahrsdoerferらの小耳症・外耳道閉鎖症に対する側頭骨HRCTのgrading systemを用いた。今回の例では15耳(13症例)中、9点(good):11耳、8点(normal):2耳、7点(fair):2耳とすべてにおいてfair以上であった。1例が外耳道の狭窄で、その他12例はすべて外耳道が完全に閉塞していた。これらの症例に対し、術後、側頭骨HRCTを施行した。
結果と考察
13症例のうち、①鼓膜の浅在化をきたしたものは9例(69%)、②外耳道に骨増殖をきたしたものは3例(23%)、③コルメラの偏位をきたしたものは2例(15%)であった。鼓膜の浅在化、コルメラの偏位ともにきたしたものが1例あった。13症例中、再手術を施行したものは3症例であった。術前評価はJahrsdoerferらのgrading systemにていずれも7点(fair)以上と手術適応のある症例であったが、聴力改善が不十分であった原因として、Jahrsdoerferらのgrading systemでは10点中耳小骨の比重が合計4点(40%)と高く、それと比し外耳道に関する項目はないことが考えられた。術後の側頭骨HRCTを見てみると、①鼓膜の浅在化、および②外耳道骨増殖をきたした症例が合計12例と、外耳道に問題をきたすものがもっとも多く、術前に外耳道についても考慮すべきなのかもしれない。
結論
外耳道形成術後の聴力未改善あるいは聴力改善しながら経年的に聴力低下した原因は、①鼓膜の浅在化、②外耳道の骨増殖、③コルメラの偏位であり、今後以上の3つの点を克服し、聴力が良好なままに維持できる術式の開発が必要である。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024243Z