難治性重症原発性局所多汗症の病態解析及び治療指針の確立

文献情報

文献番号
201024236A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性重症原発性局所多汗症の病態解析及び治療指針の確立
課題番号
H22-難治・一般-181
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
横関 博雄(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 智子(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 玉田 康彦(愛知医科大学皮膚科)
  • 片山 一朗(大阪大学医学部)
  • 水澤 英洋(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 佐々木 成(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 中野 創(弘前大学医学部)
  • 岩瀬 敏(愛知医科大学第2生理)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性局所多汗症の診断基準、重症度基準、診療ガイドラインを作成して重症度にあった適切な治療法の確立を目指した。その診断基準で全国的な疫学調査を施行し有病率を明らかにするとともに局所多汗症、代償性発汗の病態も解析した。
研究方法
疫学調査:アンケート用紙による発症頻度を解析。多汗症診療ガイドライン作成:皮膚科、神経内科、精神科、血管外科、呼吸器外科の専門医を主体として多汗症診療ガイドライン作成委員会を発足させ多汗症診療ガイドラインを作成。労働生産性の解析:大阪大学、東京医科歯科大学、愛知医科大学に受診した多汗症患者にWPAI-HISを用いて多汗症患者の労働生産性に関して解析。脳血流シンチ(SPECT)を用いて局所多汗症の原因病巣の脳における局在を解析ヒトエクリン汗腺のアクアポリン5(AP5)の解析:QP5に着目し、発汗時の細胞内シグナル伝達系がどのように細胞内動態や機能制御に関わるかを検討。
結果と考察
原発性多汗症の診断基準、重症度、治療指針、各部位別診療アルゴリズムに関しては4回の多汗症診療ガイドライン策定委員会の会議で策定され日本皮膚科学会誌に掲載された(田中智子他:原発性局所多汗症診療ガイドライン、日皮会誌:120.1607-1625,2010)。疫学調査では、原発性掌蹠多汗症は5.3%の高い有病率であった。また、保存的治療法に抵抗する難治性重症原発性掌蹠多汗症(重症原発性多汗症の5.6%) 4.5万人存在する希少性疾患であることも明らかにした。胸腔鏡下交感神経遮断術による代償性発汗の発症率もアンケート調査で行った。重症度を問わなければ、手掌94.7%、腋窩90.8%、顔面(の多汗に対する交感神経遮断術後)82.5%と非常に高率であり、また重症代償性発汗の発症率は手掌で約1.8%、腋窩で4.9%、顔面で5.3%という結果であった。また、ボトックス局所注射療法がこの代償性発汗に効果的であることも明らかになった。WPAIS-ASを用いた労働生産性の解析では48%の労働生産性が低下するというデーターも非常に大切な結果である。多汗症による経済損失試算が1970億円/月と驚く数値である。病態解析では多汗症患者の前頭葉に血流が増加する知見が得られた。
結論
今後のさらなる研究班継続による多汗症の病態解析と新規治療法の臨床研究が必要である。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024236Z