Rubinstein-Taybi症候群の臨床診断基準の策定と新基準にもとづく有病率の調査研究

文献情報

文献番号
201024225A
報告書区分
総括
研究課題名
Rubinstein-Taybi症候群の臨床診断基準の策定と新基準にもとづく有病率の調査研究
課題番号
H22-難治・一般-170
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小崎 里華(独立行政法人 国立成育医療研究センター 内科系診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 小崎 健次郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 水野 誠司(愛知県心身障害者コロニー中央病院 臨床第一部)
  • 岡本 伸彦(地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 遺伝診療科)
  • 黒澤 健司(地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
  • 柳橋 達彦(慶應義塾大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Rubinstein-Taybi症候群(以下、RTS)は精神運動発達遅滞・特異顔貌・幅広の母指趾・低身長を伴う多発奇形症候群である。CREBBP遺伝子の変異により発症するが、遺伝子変異が検出率は、30-50%であり、治療法は未確立である。CREBBPはヒストンアセチル化酵素活性を有し、その酵素活性の低下が多系統の障害をきたすことが示唆されている。今年度は、本疾患の精神症状の実態把握、患者生体試料のバンクやCREBBP変異の確実な診断法の開発を、発達障害・精神症状の軽減等を薬物治療への基盤整備を目的とした。
研究方法
(1)アレイCGH法.MLPA法を用いた新規遺伝子診断法の確立:遺伝子変異陰性例を対象に、再解析を行った。診断基準の妥当性について再度、検討した。(2)生体試料の収集とバンク化:既存試料も含め、患者へのICを行う。 (3)神経症状の実態調査:1.精神症状:心理・行動面に関するアンケート調査を行った。2.脳MRI所見:神経学的所見と脳MRIを比較検討した。(4)診療指針の作成:集積データ、文献から情報を纏め、診療指針を作成した。
結果と考察
(1)新規診断法の確立:遺伝子変異陰性の3症例を対象にアレイCGH法.MLPA解析を行った。2症例において、微細欠失を認めた。新規13検体を従来法で遺伝子解析し、変異陽性例は6検体であった。(2)生体試料の収集とバンク化:患者へのICを実施した。(3)神経症状の実態調査:1.家族会から、63症例の解析の結果、総得点、社会性、注意の三項目は臨床的に介入が必要な値を超えていた。2.脳MRIにおいて、脳梁は後半の欠損が極めて類似している点等の神経画像所見が明らかとなった。
結論
本年度は、アレイCGH法. MLPA法による新規遺伝子診断法を確立した。診断技術の精度向上は確定診断に直接寄与する重要な成果である。また、全年齢層での精神症状の実態を調査した結果、集中維持の困難さと社会性の問題をしばしば呈することが明らかになった。近年、米国FDAにより初のヒストン脱アセチル化酵素阻害薬が承認され、本症の薬物治療へ実現の可能性は十分に想定される。生体試料のバンクの確立や確実な診断法の開発は、治療薬開発の研究に不可欠な研究資源である。今後、ホームページ等を通じて、情報提供・啓発活動を行い、社会の福利厚生の還元に努める。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024225Z