鰓弓耳腎(BOR)症候群の遺伝子診断法の確立と診療体制モデル構築に関する研究

文献情報

文献番号
201024223A
報告書区分
総括
研究課題名
鰓弓耳腎(BOR)症候群の遺伝子診断法の確立と診療体制モデル構築に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-168
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
飯島 一誠(神戸大学大学院医学研究科 小児科学こども発育学)
研究分担者(所属機関)
  • 奥山 虎之(国立成育医療研究センター 臨床検査部)
  • 伊藤 秀一(国立成育医療研究センター 腎臓・リウマチ・膠原病科)
  • 松永 達雄(国立病院機構東京医療センター臨床研究センター 耳鼻咽喉科)
  • 貝藤 裕史(神戸大学大学院医学研究科 小児科学こども発育学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、1)わが国における鰓弓耳腎(branchio-oto-renal, BOR)症候群患者の診療実態および患者のニーズを把握、2)簡便で変異検出頻度の高いEYA1遺伝子診断法の開発及びBOR症候群新規原因遺伝子を同定、 3)BOR症候群の包括的な診断システムを開発し、本症候群の診療体制モデルを構築することを目的とする。
研究方法
BOR症候群患者の診療実態と医療受療者の現状及びニーズを把握するために、医療機関及び患者への郵送によるアンケート調査を行った。また、簡便で変異検出頻度の高いEYA1遺伝子診断法の開発のために、MLPA法及びRT-PCR法を導入した。さらに、包括的な診断システムの開発及び診療体制モデル構築を試みた。
結果と考察
医療機関への調査では22施設, 50症例について回答があった。受診の契機は難聴や耳介奇形などの耳鼻咽喉科的症状によるものが多かった。腎疾患ありと回答した14例のうちの4例は腎移植後患者であり、本症候群患者には腎予後が不良のものが存在する。受療者側のへ調査では送付した85例のうち新規2例を含む32例から回答があり、聴力障害に関しての問題、不安についての回答が多くよせられた。学校への不適応や入園拒否などの訴えもあり、本症候群の難聴患者に対して社会的な理解と援助が必要である。
遺伝子診断に関しては、1)直接シークエンス法、2)MLPA法、3)RT-PCR法による解析を組み合わせることにより、簡便で変異検出頻度の高いEYA1遺伝子診断システムを構築した。しかし、上記のシステムを用いてもEYA1変異を検出できない症例が相当数存在し、現在、ゲノムワイドCNV解析を用いた新規原因遺伝子の同定を試みている。
包括的な診断システムの開発及び診療体制モデル構築に関しては、国立成育医療研究センターの耳鼻咽喉科、腎臓・リウマチ・膠原病科及び遺伝診療科、東京医療センター臨床研究センター、神戸大学小児科による総合的診断・診療体制モデルの構築が進みつつある。
結論
1)本症候群診療においては耳鼻咽喉科医と小児腎臓病医の連携をさらに密にすることが必要である。
2)簡便で変異検出頻度の高いEYA1遺伝子診断システムを構築した。
3)国立成育医療研究センター、東京医療センター臨床研究センター、神戸大学小児科による総合的診断・診療体制モデルの構築が進みつつある。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024223Z