進行性下顎頭吸収の診断基準策定とその治療に関する研究

文献情報

文献番号
201024212A
報告書区分
総括
研究課題名
進行性下顎頭吸収の診断基準策定とその治療に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-157
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
丸岡 豊(独立行政法人 国立国際医療研究センター 病院 歯科口腔外科)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 健二(独立行政法人 国立国際医療研究センター 研究所)
  • 松島 綱治(東京大学大学院 医学系研究科 分子予防医学分野)
  • 小村 健(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔外科学分野)
  • 森山 啓司(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎顔面矯正学分野)
  • 飯村 忠浩(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 口腔病理学分野)
  • 桂川 陽三(独立行政法人 国立国際医療研究センター 病院 整形外科)
  • 新保 卓郎(独立行政法人 国立国際医療研究センター 研究所)
  • 星野 昭芳(独立行政法人 国立国際医療研究センター 研究所)
  • 叶谷 文秀(独立行政法人 国立国際医療研究センター 研究所)
  • 今井 英樹(独立行政法人 国立国際医療研究センター 研究所)
  • 大塚 亮(独立行政法人 国立国際医療研究センター 研究所)
  • 上羽 悟史(東京大学大学院 医学系研究科 分子予防医学分野)
  • 馬目 佳信(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 共同研究施設)
  • 藤岡 宏樹(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 共同研究施設)
  • 山崎 力(東京大学大学院 臨床疫学システム 臨床疫学)
  • 三森 明夫(独立行政法人 国立国際医療研究センター 病院 膠原病内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 PCRは、未だ病態・診断・治療が明らかでなく、歯科医師の中でさえも認知度が低い。PCRという用語の改称も含めて、合理的な分類を提唱し、またそれぞれに対する治療法を提案し、かつ予見性を含めてひろく議論を求めることにある。疾患モデルマウスの解析を進め、その結果をヒトに応用し、血液、尿中の数種のマーカーを用いた比較試験を行う。
研究方法
 臨床研究班はPCR患者の登録、血液・尿サンプルの採取を担当し、国内外の医療機関と協力して研究を進めた。基礎研究班は疾患モデルマウスの解析を行った。生物統計・臨床データ管理班は得られた検査値を総合し、統計学的な解析を行った。
結果と考察
 全国の歯科口腔外科診療施設に送付したアンケートを最終的に集計した.その結果女性は男性の10倍以上の数であった。患者年齢分布は20代が最も多く、次いで10代、30代となり、50代以上は再び増加する二相性の分布を示した。 また診断の複雑さ、つまり顎関節症などとの区別が明確に付けられないことが多く、本症に対し系統的な診断や治療が示されていないことが判明した。
 基礎研究面では、CCR1欠損マウスでは対照群となる野生型マウスに比して、形態の変化に加え、海綿骨領域における骨密度が低く、骨梁構造が未発達であり、典型的な骨代謝回転の低形成の状況に陥っていることが明らかとなった。
 一方、臨床的に骨粗鬆症と相関が報告されている移植片対宿主病(GVHD)のマウスモデルでは、CD4 T細胞依存的に骨形成を司る骨芽細胞が重度に障害されることを見出した。またマウスの中枢神経系細胞を分画化して解析することによりCCR5を転写する細胞集団の同定、そして本細胞内で発現する遺伝子の網羅的解析を試みた。
 研究協力者国際ネットワークとしては、アメリカ合衆国の機関に加え、チェコ共和国プラハ=カレル大学第三医学部附属病院矯正歯科、および第一医学部附属口腔病学院にて、当該患者に対する検査に対し、我々の求める項目を加える同意を得た。
結論
 我が国で初めて行われた本症の全国調査では諸外国での報告にほぼ沿った内容となった。疾患概念の不明瞭さから診断や治療の現場で多くの困難があることが判明した。モデルマウスの解析より本症の発症には骨代謝回転の低形成が関与していることが強く示唆された。検体数が少ないため、より多くの国内外の研究機関と連携していくことが重要と思われた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024212Z