原発性リンパ浮腫患者におけるリンパ機能評価による重症度分類と新たな治療法の検討

文献情報

文献番号
201024211A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性リンパ浮腫患者におけるリンパ機能評価による重症度分類と新たな治療法の検討
課題番号
H22-難治・一般-156
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
前川 二郎(横浜市立大学附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 三上 太郎(横浜市立大学附属病院)
  • 山本 康(横浜市立大学附属病院)
  • 細野 味里(横浜市立大学附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性リンパ浮腫は家族性における遺伝子異常の他は未だ原因が不明であり、診断、治療法についても解明されていない部分が多い。今回の研究では、原発性リンパ浮腫患者におけるリンパシンチ及びICGによる蛍光赤外リンパ管造影により、リンパ機能の評価を行い、リンパ機能の点から原発性リンパ浮腫の分類、重症度・病期分類を行うことを第一の目的とする。リンパ機能の分類ごとに最適な弾性着衣の着圧について検討を行い、弾性着衣についての重症度別のプロトコール作成を第二の目的とする。その他、患者要因、他の保存療法、手術療法についても検討を行い、原発性リンパ浮腫への治療指針作成の一助とする。またリンパ機能評価によって得られた所見及び手術施行症例での皮膚生検の所見を検討し、原発性リンパ浮腫の原因解明の一助とする。
研究方法
はじめに研究の内容、個人情報の保護等につき説明を行い、書面で同意を得られた方のみを対象とする。今までに当科を受診し、リンパシンチを施行して他に浮腫を引き起こす疾患が否定された原発性リンパ浮腫患者および研究期間に当科初診となった原発性リンパ浮腫患者に対して検討を行う。初診時の問診、リンパシンチにおける所見、ICGによる蛍光赤外リンパ管造影の所見、上記画像所見の経時的変化などについて検討を行う。また、臨床経過を3次元形状測定装置で測定し、リンパシンチ及びICGによる蛍光赤外リンパ管造影によるリンパ機能評価を行う。リンパ管静脈吻合術希望の際は手術を施行し、術前後の臨床経過の変化、リンパ機能の変化を検討し、術中に皮膚生検を行い、真皮内のリンパ管の形態について評価を行う。本研究は当該病院倫理委員会の了承を得て行った。
結果と考察
リンパシンチなどの画像診断による原発性リンパ浮腫分類は、ほぼ続発性リンパ浮腫の分類に準ずるが、続発性のタイプⅤが無形成型、タイプⅢ、Ⅳなどがリンパ節描出の有無でサブタイプに分類される。重症度も続発性と同様である。重症例では弾性着衣の着圧を高める必要があり、夜間の圧迫が必要となる。手術効果を患肢周径の変化で見ると有意に減少し、またリンパ管静脈吻合数と相関するので無形成型を除く症例では吻合手術の適応があると考えられる。
結論
リンパシンチなどの画像診断によるリンパ機能評価から原発性リンパ浮腫の重症度判定ができ、これにより保存療法と外科療法の選択を行うことが可能と思われ、治療プロトコール作成の基礎が作られた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024211Z