ソトス症候群のスクリーニング・診断システムの開発と実用化

文献情報

文献番号
201024193A
報告書区分
総括
研究課題名
ソトス症候群のスクリーニング・診断システムの開発と実用化
課題番号
H22-難治・一般-138
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
富田 博秋(東北大学 大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 直通(横浜市立大学 大学院 医学研究科)
  • 岡本 伸彦(大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 黒澤 健司(神奈川県立こども医療センター)
  • 福與 なおみ(東北大学 医学部)
  • 黒滝 直弘(長崎大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
下記(1)~(6) を遂行し、本症のスクリーニング・診断システムの開発と実用化のための研究開発と診断、支援の体制作りを進めること。(1) 臨床症状出現様態の把握と臨床評価によるスクリーニングシステムの確立(2) 症状と欠失、変異様態との相関解析と効率的な染色体欠失検出システムの確立(3) 非欠失症例における効率的な変異検出手技の開発と実用化(4) NSD1のエピジェネティック、遺伝子転写制御機構と本症の分子病態の解明(5) NSD1変異の影響で本症に特異的に発現変化する分子マーカーを用いた簡便なスクリーニング、診断法の開発と実用化(6) ソトス症候群の知識の普及、啓発
研究方法
前年度調査で把握された症例について2次全国調査と1施設の長期間の症状変化について詳細な臨床情報を取得、解析した。ソトス様症状を呈する症例の候補遺伝子の変異解析やマイクロアレイによる欠失同定を行った。前年度特定された本症罹患者のリンパ芽球で特異的に発現が変化を受ける遺伝子について新たなコホートで解析を行った。家族向けのパンフレットの作成を行い、また、家族対象の普及啓発の会を開催した。
結果と考察
本症の2次全国実態調査と長期臨床像解析から、臨床医により本症を疑う根拠と考えられている症状と実際に確定診断症例で認められる症状の発現頻度の相異や欠失例と変異例とでの症状の出現頻度の違いが検出される等、人種差や本邦の状況に適した効率的な臨床評価と療育、長期的な健康管理の指針策定に有用な情報が得られた。ソトス様症候群罹患者の変異・欠失スクリーニング研究により、世界的にも先例のないプラダ・ウィリ症候群とソトス症候群の合併例が特定された他、NFIXのミスセンス変異を持つ罹患者が特定され、ソトス様症候群の分子遺伝学的成因の多様性と網羅的ゲノム解析の有用性を示し、技術の普及による診断向上に繋がることが期待された。ソトス症候群責任遺伝子ハプロ不全の下流で罹患者特異的に発現が誘導、抑制を受ける遺伝子の特定研究で2つの独立したコホートで知見が確認されたことで臨床診断への応用に期待が持たれた。家族向けの冊子が作成され、家族対象の普及啓発の会が開催されたが、冊子、ノウハウは今後の普及啓発活動に活かされると期待される。
結論
平成22年度研究から、合理的な臨床診断の指針更新や、本症のスクリーニング・診断システムの開発と実用化に有用な情報が得られ、診断、支援の体制作りに繋がることが期待された。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024193Z