臨床疫学調査結果・新規免疫検査結果に基づくアトピー性脊髄炎の新規診断基準作成とその国内外での臨床応用

文献情報

文献番号
201024185A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床疫学調査結果・新規免疫検査結果に基づくアトピー性脊髄炎の新規診断基準作成とその国内外での臨床応用
課題番号
H22-難治・一般-130
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
吉良 潤一(九州大学大学院医学研究院 脳神経病研究施設神経内科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 飛松 省三(九州大学大学院医学研究院 臨床神経生理学分野)
  • 楠 進(近畿大学医学部 神経内科)
  • 坂田 清美(岩手医科大学医学部 衛生学公衆衛生学)
  • 谷脇 考恭(久留米大学医学部 呼吸器・神経・膠原病内科)
  • 河村 信利(九州大学大学院医学研究院 神経内科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アトピー性脊髄炎はアトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアトピー性疾患に伴う脊髄炎である。アトピー性脊髄炎では早期の診断、治療が重要と考えられるが、現行におけるアトピー性脊髄炎の診断基準は臨床所見に基づくものしかなく十分とはいえない。本研究は臨床疫学調査結果や免疫学的、神経生理学的な手法を用いた新規診断マーカーに関する検討を行い、新規アトピー性脊髄炎診断基準を作成し、国内や海外での本疾患の実態把握や治療指針の作成を行う。
研究方法
本研究では、1) アトピー性脊髄炎の電気生理学的検査結果の解析、2) 新規アトピー性脊髄炎診断基準の作成および感度・特異度の検討、3) アトピー性脊髄炎の新規診断基準英語版の作成、4) 気管支喘息患者におけるアトピー性脊髄炎の前向き調査、5) アトピー性脊髄炎の免疫学的マーカーに関する検討を行った。
結果と考察
1) アトピー性脊髄炎の誘発電位検査における特徴(視覚誘発電位正常、上肢運動誘発電位誘発不能例が多いなど)が明らかとなり、診断基準の補助項目に有用と考えられた。2) 発症5年以上フォローしたアトピー性脊髄炎と多発性硬化症症例を用いて、新規アトピー性脊髄炎診断基準(案)の妥当性の検討。その結果に基づいて、好酸球増多、末梢神経障害などの項目を削除し、感度・特異度・陰性適中率それぞれ80%以上の診断基準を作成した。3) アトピー性脊髄炎診断基準の英語版を作成した。4) 気管支喘息患者におけるアトピー性脊髄炎の前向き調査を開始した。5) アトピー性脊髄炎における血小板機能の亢進傾向がみられ、新規の免疫学的マーカーとなる可能性が示唆された。
結論
診断精度に優れた新規のアトピー性脊髄炎診断基準およびその英語版の作成を行った。来年度は診断基準の普及、前向き調査の解析、新規マーカーの開発を行い、新規診断基準の臨床応用を広げることが重要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024185Z