日本人脆弱X症候群および関連疾患の診断・治療推進の研究

文献情報

文献番号
201024181A
報告書区分
総括
研究課題名
日本人脆弱X症候群および関連疾患の診断・治療推進の研究
課題番号
H22-難治・一般-126
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
難波 栄二(国立大学法人鳥取大学 生命機能研究支援センター)
研究分担者(所属機関)
  • 有波 忠雄(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 杉江 秀夫(自治医科大学 小児神経学)
  • 後藤 雄一(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター)
  • 佐々木 司(国立大学法人東京大学 大学院教育学研究科)
  • 大野 耕策(国立大学法人鳥取大学 医学部)
  • 中島 健二(国立大学法人鳥取大学 医学部)
  • 石塚 文平(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 松浦 徹(国立大学法人岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脆弱X症候群は、日本では調査が十分でなく、患者の報告が少ない。そこで、平成21年度の研究に引き続き、2年計画で、遺伝子診断システムの充実と治療バイオマーカーの検討、医療機関に対する活動、精神遅滞や自閉症などの患者家族に対する活動、自閉症と精神・神経疾患バイオリソース検体での検討、Fragile X-associated Tremor/Ataxia Syndrome (FXTAS)の検討、早期卵巣不全(POF)患者の検討、先進医療への登録および遺伝カウンセリングガイドラインの策定と普及の研究を推進する。
研究方法
1.実態調査:小児神経専門医1,022名、日本児童青年精神医学会等の医師会員2451名、全国の保健所653施設に所属する保健師にアンケート調査を行った。2.脆弱X症候群の遺伝子診断:合計692名の精神遅滞患者の解析を行った。3.日本人脆弱X症候群の高齢患者に関する調査がはじめて行われた。4.小児神経学会研究支援を得て、検体収集が始まった。また、スコアー化された臨床スクリーニング法が提案された。5.過去40年間の鳥取県での脆弱X症候群の患者の調査が行われた。6. FXTASの研究を推進するため、パーキンソン病患者のゲノム収集が行われた。7.日本人早期卵巣不全患者(POF)でのFMR1遺伝子の解析が行われ、繰り返し配列数が伸長していることが明らかにされた。7.脆弱X症候群での核内凝集体の解析技術の検討が行われた。
結果と考察
小児神経学会での実態調査では、小児神経学会小児神経専門医1,022人中287名(28.1%)の回答を得た。さらに、本回答の中で脆弱X症候群の診断のついた例をもつ回答は、わずか7件(13例)であった。遺伝子診断の結果、精神遅滞例74件中、延長例を10名(5家系)明らかにした。また、精神遅滞バイオリソースの618検体中で、3家系(5名)の延長例が確認できた。日本人では5,000名程度の患者がいることが推測されるが、今回の調査においても、把握されている患者数が少なく、遺伝子診断の普及は急務の課題である。さらに、患者の二次調査、遺伝子診断を先進医療として位置づける、治療バイオマーカーの検討を行うなどの研究を進めてゆく。
結論
1.大規模な実態調査研究を行ったが、脆弱X症候群の患者は少なかった。
2.日本人早期卵巣不全患者ではFMR1遺伝子のCGG繰り返し配列数が延長が示された。
3.日本人高齢患者、鳥取県での患者、臨床症状からのスクリーニング法、パーキンソン病患者ゲノムの収集、核内封入体の解析方法の検討が行われた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024181Z