文献情報
文献番号
202527016A
報告書区分
総括
研究課題名
知的障害児・発達障害児とその家族のQOLを維持する支援体制整備に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24DA0401
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 創一(東京学芸大学 現職教員支援センター機構)
研究分担者(所属機関)
- 安達 潤(北海道教育大学旭川校教育学部障害児臨床教室)
- 新澤 伸子(服部 伸子)(武庫川女子大学 心理・社会福祉学部)
- 内山 登紀夫(福島学院大学)
- 本田 秀夫(信州大学 学術研究院医学系)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
6,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、より多くの知的障害・発達障害児のQOL を低下させることなく成長するために、市区町村等における多領域・多職種によるライフステージを通じて切れ目のない支援体制を構築するためのスタートアップマニュアルの作成を目的とする。
研究方法
令和6年度・7年度は、教育・医療・福祉等の専門家から構成された研究チームと多数の研究協力協力者の参加により、2つのアプローチから6つの研究を進めてきた。ひとつは、ここ数年で発達支援を取り巻く環境が急激に変化している中、全国の市区町村・都道府県・事業所単位で、子どもやその家族のQOL向上につながる先駆的実践を集約する政策形成研究である。もうひとつは、現行の資源等を活用した実践・支援の成果をQOLの視点(主観的QOL、幸福感等)からどのように評価できるか検証する学術的研究である。また、これらの2つのアプローチによる研究の進捗について、全国の市区町村等における発達障害児支援の体制整備に携わっている多くの関係者にオンデマンド配信を行い、それぞれの研究の課題と可能性について批評を得た。
結果と考察
全体会議の進捗を収めた約15分の動画6本をオンデマンド配信し、230視聴中49件の意見を得た。概ね「支援量」から「本人の満足・幸福感」重視への転換が必要とされたが、現場の連携時間不足や共通言語欠如が課題とされた。橋本班の研究①では、ライフステージは診断前〜就学期の支援到達の遅れ、学齢期の教育・福祉・医療の連携不足、思春期〜成人移行期の就労・自立支援と予防的支援の必要性を指摘。橋本班の研究②では、相談支援事業所へのヒアリングで政策課題と地域資源活用の困難さを確認し、追加調査を計画。安達班の研究③では、ICFを用いた分析で支援により子どものQOLが改善、環境因子や合理的配慮がQOLに影響することを示した。新澤班の研究④では、早期療育群調査では現在のQOLは一般成人と概ね差がなく、本人の内在化問題がQOLの主要因である可能性が示唆された。内山班の研究⑤では、ASD児の主観的ウェルビーイング尺度は従来尺度と一致しない点、保護者代理評価で内的体験が過小評価されやすい点が示された。本田班の研究⑥では、地域活動支援センターの64.4%が発達障害者向け活動を実施する一方、20歳以下利用は13%、専門プログラムは4.8%にとどまる実態が明らかになった。
結論
令和6年度・7年度において、各研究積み残し課題を令和8年度も継続する。しかし、本研究は、市区町村等における多領域・多職種によるライフステージを通じて切れ目のない支援体制を構築するためのスタートアップマニュアルを作成することであり、以下の点に留意する必要があると考える。
①本研究では、知的・発達障害のある子どもとその家族のQOL(生活の質)を成人期まで維持・向上させるため、地域の多様な資源をライフステージ全体で総合的に捉える必要性を強調してきた。市区町村の障害児給付事業(令和6年度から義務化された5領域ベースの支援)や相談支援窓口、保育・学校(特別支援含む)、放課後支援、母子保健、医療機関、児童相談所、当事者・親の会、社会教育団体、町内会、子ども食堂など、多数の行政・民間資源が相互に連携し、適切な時期にスムーズに活用できることが重要である。単一事業所の高品質な支援だけでは不十分であり、資源の過不足や連携のあり方を「見える化」するために、Q-SACCSの活用が一定レベル進んでおり、この市区町村等の基盤整備のためのツールを下敷きにスタートアップマニュアルの編集を行う。②また、QOL、幸福感、ウェルビーイング等の用語や測定手法の扱いについて、支援現場で活用しやすさとマニュアル内で統一されたルール作りが必要になってくる。これまでの研究では、哲学的・実証的に示される「快楽主義」「欲求充足論」「客観的リスト論」といった幸福の階層概念を踏まえ、WHOのQOL定義や健康関連QOL、KINDL等の測定ツールの位置づけを整理する。また、知的障害・発達障害のある「子どものQOL向上」の視点と「家族まるごとのQOL向上」とのバランスについても議論する必要がある。
①本研究では、知的・発達障害のある子どもとその家族のQOL(生活の質)を成人期まで維持・向上させるため、地域の多様な資源をライフステージ全体で総合的に捉える必要性を強調してきた。市区町村の障害児給付事業(令和6年度から義務化された5領域ベースの支援)や相談支援窓口、保育・学校(特別支援含む)、放課後支援、母子保健、医療機関、児童相談所、当事者・親の会、社会教育団体、町内会、子ども食堂など、多数の行政・民間資源が相互に連携し、適切な時期にスムーズに活用できることが重要である。単一事業所の高品質な支援だけでは不十分であり、資源の過不足や連携のあり方を「見える化」するために、Q-SACCSの活用が一定レベル進んでおり、この市区町村等の基盤整備のためのツールを下敷きにスタートアップマニュアルの編集を行う。②また、QOL、幸福感、ウェルビーイング等の用語や測定手法の扱いについて、支援現場で活用しやすさとマニュアル内で統一されたルール作りが必要になってくる。これまでの研究では、哲学的・実証的に示される「快楽主義」「欲求充足論」「客観的リスト論」といった幸福の階層概念を踏まえ、WHOのQOL定義や健康関連QOL、KINDL等の測定ツールの位置づけを整理する。また、知的障害・発達障害のある「子どものQOL向上」の視点と「家族まるごとのQOL向上」とのバランスについても議論する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2026-07-17
更新日
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