性分化疾患における診断法の確立と治療指針の作成

文献情報

文献番号
201024153A
報告書区分
総括
研究課題名
性分化疾患における診断法の確立と治療指針の作成
課題番号
H22-難治・一般-098
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
緒方 勤(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 分子内分泌研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 大山 建司(山梨大学大学院医学工学総合研究部 臨床看護)
  • 堀川 玲子(独立行政法人国立成育医療研究センター 内分泌代謝科)
  • 島田 憲次(大阪府立母子保健総合医療センター 泌尿器科)
  • 有阪 治(獨協医科大学 小児科)
  • 野々村 克也(北海道大学大学院医学研究科 泌尿器科)
  • 深見 真紀(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 分子内分泌研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、性分化疾患における診断法の確立と治療指針の作成である。これにより、本疾患における医療の均てん化に貢献する。
研究方法
下記の項目について検討した。
結果と考察
原因疾患診断法の確立: 臨床的アンドロゲン受容体異常症における責任遺伝子変異が少数例に留まり、遺伝相談においては遺伝子診断が必須であること、また、表現型女児における5α還元酵素遺伝子変異の同定が、男児として養育する根拠となりうることが示された。さらに、純粋型XY 性線異形成患者において、世界で初めてSOX9の性線特異的エンハンサー領域の同定に繋がる成果を得た。
性自認に関する小児期実態調査:テストステロンとジヒドロテストステロンの脳の性分化におよぼす影響を解析するモデルとなる疾患に関する性自認調査を行い、現在データ解析中である。これは、脳の性分化の観点から社会的性の決定に重要な指針を与えると考えられる。
小児期対応の手引き作成:昨年度作成した「性分化疾患初期対応の手引」を、日本小児科学会雑誌および本研究班および日本小児内分泌学会ホームページに掲載した。さらに、本年度、「性分化疾患小児期対応の手引」を作成した。これは、性分化疾患患者・家族に対する適切な対応が全国に広まる契機となる。
性指向アンケート調査:昨年度作成した性指向調査表(335問)を4名の同意を得られた患者にたいして実施した。その結果、異性愛、性交経験とその満足度、性の意識について有用なデータが得られた。
尿道下裂症例の思春期における下垂体-性腺系の研究:小児期に手術を受けた患者の思春期ホルモンデータや造精能に関する詳細なデータが得られた。特に、16%の患者において造精能障害が示唆されたことは、性分化疾患における重要なデータとなる。
性分化疾患を伴う先天奇形症候群の遺伝子型―表現型解析:遺伝的男女ともに性分化疾患を生じるチトクロームP450オキシドレダクターゼ異常症を解析し、迅速スクリーニング法や遺伝子型-表現型関連を確立した。
相談医師の選定:性分化疾患の初期対応を円滑に進めるに、日本小児内分泌学会の性分化委員会委員9名と日本小児泌尿器科学会から推薦された約30名の医師の名簿を作成し、日本小児内分泌学会ホームページに掲載した。
結論
上記の成果は、本邦における性分化疾患の性分化疾患における診断法の確立と治療指針の作成に大きく貢献するものである。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024153Z