室内空気汚染化学物質対策の推進に資する総合的研究

文献情報

文献番号
202525014A
報告書区分
総括
研究課題名
室内空気汚染化学物質対策の推進に資する総合的研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24KD2001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
酒井 信夫(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 神野 透人(名城大学 薬学部 衛生化学研究室)
  • 田辺 新一(早稲田大学 理工学術院)
  • 伊藤 一秀(九州大学大学院 総合理工学研究院)
  • 東 賢一(近畿大学 医学部 予防医学・行動科学教室)
  • 大嶋 直浩(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 香川 聡子(横浜薬科大学 薬学部 環境科学研究室)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
31,730,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
シックハウス(室内空気汚染)問題に対応するため,室内濃度指針値の見直しおよび新規対象物質の選定に資する科学的基盤の整備を目的として研究を実施した。近年は建材由来化学物質に加え,生活用品由来物質,代替可塑剤,準揮発性有機化合物(SVOC)等へ対象が拡大しており,標準試験法,曝露評価法,ハザード情報の整備が求められている。本研究では,①室内空気中化学物質の標準試験法の高度化,②TVOC構成成分データベースの構築,③国際規格化への対応,④数値人体モデルによる曝露評価,⑤ハザード情報・国際規制動向調査,⑥ヘリウム代替分析技術の開発,⑦国内標準試験法の改訂を通じ,「測定・評価・規制」を支える統合的基盤の強化を目指した。
研究方法
アルデヒド類測定では,DNPH捕集管を用いた添加回収試験によりオゾン影響およびブランクの影響を評価した。グリコールエーテル・エステル類45物質については,固相吸着-加熱脱離-GC/MS法による一斉分析法を検討した。SVOC分析ではSE-LC/MS法を開発し,多機関共同による妥当性評価試験を実施した。さらに,空気清浄機プレフィルターを利用したハウスダスト中BUVs捕集法を検討した。TVOCについては保持指標(RI)と有害性情報を統合したデータベースを構築した。国際規格化ではISO/TC146/SC6等を通じPFASやアクロレイン等の動向を調査した。曝露評価では数値気道モデルとPBPKモデルを統合した数値人体モデルを用いた。加えて,全国規模の疫学調査,並びに水素・窒素を用いた加熱脱離-GC/MS法の適用可能性評価を行った。
結果と考察
アルデヒド測定では,低濃度域でブランクの影響により回収率が低下することが判明したが,前段に無添加捕集管を接続することで改善可能であった。これは低濃度測定精度向上に重要な知見である。グリコールエーテル類分析では,多くの物質で良好な直線性・回収率を得た一方,一部で分離不良が認められ,分析条件最適化が課題となった。SE-LC/MS法ではヘリウム非依存型SVOC分析法を確立し,良好な再現性を確認した。BUVs捕集では,空気清浄機フィルター法が従来法より高感度であり,曝露評価高度化への有用性が示された。TVOCデータベース整備により,TVOCの質的評価基盤が構築された。PFASやアクロレイン等の新規課題について国際的関心の高まりが確認され,室内空気分野での対応必要性が示された。数値人体モデルでは経気道曝露推定精度が向上し,未規制物質への応用可能性が示された。また,生活由来曝露や湿潤環境等が健康影響に関与する可能性が示唆された。さらに,水素・窒素キャリヤーガスの適用可能性が確認され,ヘリウム依存低減への技術的基盤が得られた。
結論
本研究により,室内空気汚染化学物質対策における標準試験法,曝露評価法,ハザード情報整備の各側面で重要な成果が得られた。特に,低濃度測定精度の向上,ヘリウム代替分析法の確立,TVOCの質的評価基盤整備,PBPKモデルを活用した曝露評価高度化は,今後の指針値見直しや新規物質評価に直接的に寄与する成果である。また,生活由来曝露やPFAS等の新規課題への対応必要性が明確化され,室内空気質評価の枠組み拡張の重要性が示された。これらの成果は,標準試験法の国内外規格化および行政施策への反映を通じ,国民の健康保護に資するものである。

公開日・更新日

公開日
2026-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
202525014Z